造影剤不要?MRIで簡単に血管をみてみよう

画像検査で血管を見るためには・・・

CTや血管造影検査、透視検査など放射線科で扱う機械で血管を見るには必ずと言っていいほど『造影剤』が必須となり、造影剤の分布によってコントラストが決定され、体を流れる血管や臓器に流れていき、それぞれの場所での造影効果を画像化してみることができます。
しかし、造影剤はアレルギーがあったり、腎臓の機能が悪い患者さん、喘息の既往がある患者さんへ使用する場合は特にリスクも大きく、場合によっては使用できないこともあり制限があります。

MRIで簡単に血管を!MRAとは

頭のMRI検査を受けたことがある方は、予約表や受診表で一度は目にしたことがあるかもしれません。
MRA!Magnetic Resonance Angiographyの略で、MRIを使って血管を撮る撮像方法のことを言います。
初めて検査を受ける方は、
「MRIの表記が間違って印刷されてるのかな?」
「このMRIの後にMRA?とかいう検査もあるんだけど」
と思っている方もいらっしゃいますが、MRIの検査の一部であり、当院では主に頭の検査でMRAを撮っており、血管がどれだけ詰まっているかをみています。
この時、造影剤は必要ないので、副作用の心配もありません。

MRAの画像でみえる病気

MRAの画像は綺麗に流れている血管ははっきり見えますが、流れが遅かったり流れていない部分は血管が画像に出てこないため脳の血管の詰まり(=脳梗塞)の疑いがある場合は必ず撮っています。

MRAでは脳梗塞以外にも、脳の血管のこぶ(=脳動脈瘤)の発見や大きさの変化をみるときも撮っています。
早期に動脈瘤を発見することで、破裂によるくも膜下出血となるリスクを低減することができます。

MRAのデメリット

MRAを撮るには上記の診断が出来たり、造影剤いらずなどメリットも多いですが、デメリットも多々あります。
①時間がかかる
→MRIでは1つの画像を作るのに3-5分くらいかかりますが、MRAだけは10分程度時間がかかるため、その間動いたり、咳やくしゃみをしてしまうと綺麗な画像が撮れなくなってしまいます。
②アーチファクトがある
→MRAでは足部から頭部へ流れる血管ははっきりと見えますが、横に走る血管(サイフォン部など)は消えて映らなくなることがあり、脳梗塞と間違う恐れがあります。
③細かな部分の検出が難しい
→MRAは大きい血管ははっきりと映りますが、細かい血管はCTで造影剤を使わないと見ることができません。

頭の検査以外にも可能です

MRAは通常頭の検査で撮ることが多いですが、骨盤部から足の血管も撮ることができます。
ただし、頭以上に時間がかかり、動きやすいため検査可能な患者さんは限られてきます

当院MRI装置について詳しくはこちらの記事をご覧ください
https://midori-hp.or.jp/radiology-blog/open_mri/