狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は寒い季節に増える病気といわれていますが、
夏場にも注意が必要です
これからの季節、暑い日が続くと熱中症で病院へ運ばれてくる患者さんが増えてきます。
熱中症とは高温・多湿下で発生する病気の総称です。
熱によって起こるさまざまな身体の不調のことをいいます。
熱中症の症状としては、気温の高い環境にいることで体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすることで起こる、めまいや頭痛、けいれん、意識障害などの症状があげられます。
熱中症を予防するには脱水症予防をすることがとても大切です。
脱水状態では血液がドロドロの状態になり血が流れにくい状態になります
暑い季節に十分な水分を取らずに運動を行ったりすると脱水症状が起きます。
脱水症状では身体の中の水分が減り、血液がドロドロの状態になります。
血液がドロドロの状態では血液は流れにくくなり、血の塊(かたまり)である血栓ができやすい状態になってしまします。
その血栓が頭に流れると脳梗塞に、心臓を栄養する冠動脈に流れると心筋梗塞になる原因となってしまいます。
特に、高齢者、動脈硬化、高血圧、糖尿病のある方には注意が必要になります。
【急性期脳梗塞】
オープン型MRI装置による頭部MRI画像
黄色丸枠内の白い部分が脳梗塞を起こした場所です
【狭心症】
80列マルチスライスCT Aquillion PRIME による心臓(冠動脈)CT画像
心臓を栄養する冠動脈と呼ばれる血管が細くなっている場所があります(黄色丸枠内)
心臓を栄養する冠動脈と呼ばれる血管が詰まることで起こる心筋梗塞は、細い冠動脈という血管がかたくなる動脈硬化から始まります。
知らない間に私たちの血管の内側には、脂肪のかたまりやコレステロールのかたまり(プラーク)が蓄積し、日々血管は硬くなり動脈硬化は進んでいきます。
それがある日突然、コレステロールのかたまり(プラーク)が破れて冠動脈を塞ぐことで心筋梗塞は起こります。
心筋梗塞は多くの場合、胸の痛み、胸の締め付け感を伴い発症することが多いとされていますが、特徴的な痛みなどを伴わない無痛性の心筋梗塞も、心筋梗塞のうち15%程度に認められると言われています。
一般的に馴染み深い胸部レントゲン写真では心臓の大きさや心臓とつながっている肺の状態などを把握することはできますが、心臓を栄養する血管である冠動脈の動脈硬化の程度は診断することが出来ません。
それに対して、心臓(冠動脈)CT検査では動脈硬化による冠動脈の狭窄や冠動脈の壁の状態の評価もできる検査です。
上記の画像は冠動脈の細くなった部分を拡げる心臓カテーテル治療を行った患者様の、治療後の状態を観察するために行った心臓(冠動脈)CT検査画像です。
心臓(冠動脈)CT検査画像では2014年に行なった検査に比べ2015年に行なった検査では動脈硬化が進み、冠動脈がより細くなっていることがわかります。
心臓を栄養する冠動脈の狭窄や閉塞の診断には心臓(冠動脈)CT検査が有用です
心臓(冠動脈)CT検査ではこれまで、心臓カテーテル検査をしなければ分かり得なかった冠動脈の詳細な画像が得られ、冠動脈の狭窄や閉塞の診断ができます。
さらに、冠動脈の壁の状態の評価も可能で、心臓(冠動脈)CT検査画像は冠動脈の狭窄や閉塞の治療である心臓カテーテル治療時の治療方針の決定にも役立ちます。
狭心症で通院中の患者さんで、胸の苦しい症状の程度がいつもより強くなったり、回数が頻回になったり、軽い労作で胸の苦しさが起こるようになった場合には、心筋梗塞になる可能性があります。
締め付けられるような胸の痛みや絞めつけられる感じ、胸の圧迫感など気になる胸の症状がある方は、当院循環器内科医にご相談ください。