健康診断で胸のレントゲン写真を撮ったことがある方は多いのではないでしょうか?
しかし、お腹のレントゲン写真はどうでしょう?
今回は、そんなあまり身近ではない“お腹のレントゲン写真”についてご紹介させて頂きたいと思います。
お腹のレントゲン写真って何の為に撮るの?
まず、お腹のレントゲン写真を撮る目的・分かる病気について見ていきましょう!
お腹のレントゲン写真は、主に腹痛・お腹の張り・背部痛・吐き気・嘔吐などの症状があるときに撮影を行います。
このお腹のレントゲン写真を撮ることで、以下のような病気が見つかることがあります。
- 腎、尿管、膀胱、胆嚢、胆管などの結石の存在
- イレウス(腸閉塞)
- 便秘症
- 消化管穿孔(消化管に孔が開いている状態)
- 腹水
- 腰の骨、骨盤の骨折 などの有無。
お腹のレントゲン写真は骨・水・脂肪・空気・石灰化・金属(治療した人工物)といった大きく6種類のものを比較しており、これらを淡い影の変化で見分けています。
お腹のレントゲン写真では、どこまで着替えたらいいの?
レントゲン写真と聞いて、ほとんどの方が服装の着替えを気にされています。
撮影室に入ると「これは脱いだ方がいい?」、「時計は外した方がいい?」、「背中にシップ貼ってるけど大丈夫?」など、たくさんの質問を頂きます。
そんな服装の疑問を、順番に解決していきましょう!
お腹のレントゲン写真では、上はワキから下はお尻までを撮影しています。
そのため、ワキからお尻までの範囲で写真に写ってしまうものは全て取り除かなければなりません。
では、どのようなものが写真に写ってしまうのでしょうか?
~お腹のレントゲン写真に写ってしまうもの~
- 金具
例)ブラジャーのワイヤーやホック、金属製のボタンやチャックの付いた服など - プラスチック
例)キャミソールなどの肩紐についた長さ調整部分、ボタンなど - 服についた装飾物
例)分厚めの刺繍、アップリケ、ビニールプリント、スパンコールやラインストーンなど - コルセット
- シップなどの貼り薬(心臓の貼り薬など、外さなくていいものもあります。)
- 使い捨てカイロ
などがあります。
そして、服のポケットに入れている財布や携帯電話、鍵なども写るので撮影の際はポケットの中身を出し、なくならないように鞄の中に入れておいて下さいね。
「着替えるのが面倒臭い。」という方や、「着替えるのに時間がかかるから、、、。」と、着替えることを拒否される方もいらっしゃいますが、上記に挙げたものなどによって病気の影と重なり、病気が見えなくなってしまうことがあります。
着替えに手伝いを要する場合は私たちスタッフがお手伝い致しますので、遠慮なくお声がけ下さい♪
お腹のレントゲン写真ってなにが写ってるの?
それでは、”お腹のレントゲン写真に何が写っているのか?”を、実際の写真を元に一緒に見て行きましょう!
まず、図1-1を見てみましょう!はっきりと見えるのは骨くらいに思いますよね?
それでは続いて、図1-2を見てみましょう!
図1-2では、お腹のレントゲン写真で写っている臓器のいくつか(それぞれ肝臓を赤、脾臓をオレンジ、腎臓を青、膀胱を黒)を点線で表してみました。
図1-1と図1-2を見比べてみても、臓器などの骨以外の情報が淡く分かりにくいのがお分かり頂けるのではないでしょうか?
そのため、お腹のレントゲン写真の診断はとても難しいのです。
図1-1:お腹のレントゲン写真
図1-2臓器を点線で示した写真
お腹のレントゲン写真ってどうやって撮ってるの?
今までレントゲン写真を撮ったことがある方は、一度は聞いたことがあるかもしれない「息を吸って止めて下さい」という掛け声。
お腹のレントゲン写真では、「息を吸って”吐いて”、止めてください」という掛け声になります。
さて、なぜ息を吐いて止めるのでしょうか?
それは、息を吐くことで肺の中の空気が外に排出されて肺が小さくなり、それによって肺の下にある横隔膜が上にあがり、お腹の見える範囲を広くすることが出来るからです。
医師に多くの情報を診ていただくためにも、しっかりと息を吐いて止めましょう!
お腹のレントゲン写真で被曝は問題ないの?
お腹のレントゲン撮影は放射線を扱う検査であるため、被ばくというデメリットが伴います。
しかし、お腹のレントゲン写真の被曝線量は非常に少なく、発がんなどの深刻な健康被害になることはないと言われています。
体には影響がないほどのわずかな被曝ではありますが、全く被曝をしないわけではありませんので、妊娠されている方や妊娠の可能性のある方は撮影前に必ず医師に相談しましょう。
今回は、お腹のレントゲン写真についてご紹介させていただきました。
記事を読まれて少しでもお腹のレントゲン写真について知って頂けたら嬉しいです。
お腹のレントゲン写真の撮影でなにか分からないことや、不安に思うことがあれば私たち診療放射線技師にお気軽にご相談ください♪