健診のエコー検査で、「胆嚢(たんのう)に石がありますね。」と言われたことのある方は多いのではないでしょうか?
人の体の中では分泌物などによって石のようなものが出来てしまうことがあり、この体内で出来た石のようなものを「結石(けっせき)」と言います。
結石には胆嚢(たんのう)結石・胆管結石・腎結石・尿路結石など様々な種類の結石があり、今回はその中でも胆石症を引き起こす「胆嚢結石・胆管結石」について、ご紹介させていただきたいと思います。
胆嚢(たんのう)と胆管ってどこにあるの?
胆石症を引き起こす「胆嚢結石・胆管結石」のお話をする前に、まず胆嚢や胆管がどこにある・どんなものなのかについて見ていきましょう♪
図1に胆嚢・胆嚢管・胆管と周りの臓器の関係をイラストで表しました。
肝臓の下にある洋梨のような形をした袋が“胆嚢(たんのう)”で、胆嚢管・総胆管を経て十二指腸へと繋がっています。
この胆嚢は、肝臓で作られた“胆汁(たんじゅう)”という消化液を溜めておく保管庫の役割をしており、胆嚢で水分が吸収され濃縮された胆汁は、食事の刺激によって十二指腸へと流れ出し、主に脂肪の消化分解を助ける働きをしています。
図1:胆嚢・総胆管のイラスト
この胆嚢に出来た結石を「胆嚢結石」、総胆管に出来た結石を「胆管結石」といい、これらをまとめて“胆石”と呼びます。
この胆石によって引き起こされる症状をまとめて“胆石症”といいます。
CT検査画像で胆石をみてみよう
図2の左側にCT検査で撮影したそのままの画像を、右側に胆嚢(たんのう)と胆石に印をつけた画像を用意しました。図2の右側の画像において、黄色い点で囲われたものが胆嚢、赤丸で囲われたものが胆石となっています。
赤丸の中に白い小さな塊を確認できますでしょうか?
これが結石であり、胆嚢の中にみられるので“胆嚢結石”と呼ばれています。
図2:胆嚢結石が映ったCT検査画像(横断像)
続いて、図3を見てみましょう。
図3の左側にはCT検査で撮影したそのままの画像を、右側に胆嚢管を黄緑色の丸で囲った画像を用意しました。
黄緑色の丸の中に、白い小さな塊がいくつか転がっているのを確認できますでしょうか?
これも結石で、胆嚢管の中にみられるので“胆嚢管結石”と呼ばれています。
図3:胆嚢管結石が映ったCT検査画像(冠状断像)
胆嚢や胆管を詳しく調べる為には・・・
胆嚢や胆管を詳しく調べるのに有用な検査があることをご存知ですか?
点滴静注胆嚢胆管造影法(Drip Infusion Cholecystochol angiography)という胆嚢や胆管に集まる働きを持つ特殊な造影剤を使った検査と、CT検査とを組み合わせた検査方法で“DIC-CT”と呼ばれています。
このDIC-CT検査をすることで胆汁が胆嚢から胆嚢管、総胆管を経て十二指腸へと正常に流れているかを正確に確認することが出来ます。
胆嚢や胆管自身が造影剤で染まるため、図4のように総胆管のどの位置から、どんな角度で胆嚢管がのびているのかなどを確認することが出来、胆嚢摘出術などの手術や治療の前に撮影を行うことで、より具体的に把握することが出来ます。
図4:DIC-CT検査による胆嚢・胆管などの造影画像
最後に
今回は「胆石」と「DIC-CT」についてご紹介させていただきました。
皆さまにとって胆嚢や胆管は普段馴染みのない臓器だと思いますが、胆石を保有している方はとても多く、胆石症は珍しい症状ではありません。
そんな意外と身近に潜んでいる胆石症を、この記事をきっかけに多くの方に知っていただけたらと思っています。
次回は、総胆管に出来た石や泥などを取り除く治療法である、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)検査についてご紹介させていただきたいと思います。