上の写真。。。何かわかりますか?
そうです。世界三大珍味のひとつと言われているフォアグラ!美味しいですよね♪
今回はフォアグラの美味しいお話!ではなく。。。私たちの体の中で起こるフォアグラ・・・「脂肪肝」についてご紹介させて頂きたいと思います。
~脂肪肝ってどんな病気??~
「脂肪肝」とは脂肪(中性脂肪)が肝臓に蓄積し、フォアグラ状態になることをいいます。
軽い病気と思われがちな「脂肪肝」ですが、肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性もあり、さまざまな生活習慣病のリスクを高めることも分かってきています。
~どうして肝臓に脂肪(中性脂肪)がたまるの?~
中性脂肪は肝臓で作られたり、食事を摂取することで体内に貯蓄されるもので体温調節や、骨や内臓など身体のさまざまな組織を衝撃から守る働きをもっています。
また中性脂肪はすぐに使われず万が一に備えて肝細胞の中に蓄えられており、体を動かすエネルギー源であるブドウ糖が不足したとき、中性脂肪がこれを補うエネルギーとして体内に必要分放出されます。しかし、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると余った中性脂肪は肝臓や皮下組織・血中に蓄えられてしまい、肝臓内に蓄えられ過ぎると「脂肪肝」、皮下組織に蓄えられ過ぎると「肥満」、血中に蓄えられ過ぎると「動脈硬化」へと繋がります。
少なすぎても多すぎても良くない中性脂肪。食事量や運動など生活習慣を一度見直してみるのもいいかもしれませんね♪
~CT画像で見る脂肪肝~
CT画像で脂肪肝を見るときは、「肝臓と脾臓のCT値(CTの画像濃度値)の比(=L/S比)」が用いられ、このL/S比が0.9未満になると“脂肪肝である”と診断されます。
これを踏まえて、実際にCT画像を見ていきましょう。
まずは正常なお腹のCT画像から見てみましょう。
図1において、“肝臓”を赤色で、“脾臓”を黄色で囲った画像を右側に示しました。
これら2つの濃度にあまり差は感じられないように見えますが、実際はどうなのかL/S比を計算してみました。
まずそれぞれのCT値を計測してみると、
肝臓(L)のCT値=56.92、脾臓(S)のCT値=56.71でした。
よって、L/S=56.92/56.71≒1.00
図1におけるL/S比は1.00となり「脂肪肝ではない」ということが分かります。
次に図2のお腹のCT画像を見ていきたいと思います。
図2において“肝臓”を赤色で、“脾臓”を黄色で囲った画像を右側に示しました。
見るからに肝臓が脾臓より黒っぽく見えますが、実際はどうなのかこちらもL/S比を計算してみました。
まずそれぞれのCT値を計測してみると、
肝臓(L)のCT値=18.93、脾臓(S)のCT値=55.82でした。
よって、L/S=18.93/55.82≒0.339
図2におけるL/S比は0.339となり、0.9未満なので「脂肪肝である」ということが分かります。
図1、図2を順に見てきて、「脂肪肝は、肝臓が脾臓よりも黒っぽく写るのでは!?」と気づかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それでは、図3のお腹のCT画像は脂肪肝でしょうか?それとも正常でしょうか?
・・・
それでは答え合わせをしてみましょう♪
図3において“肝臓”を赤色で、“脾臓”を黄色で囲った画像を右側に示しました。
肝臓が脾臓よりも黒っぽく見えるような気もしますし、同じくらいの濃度にも見える気がしますね。。。
まずそれぞれのCT値を計測してみると、肝臓(L)=33.47、脾臓(S)=51.32となりました。
よって、L/S=33.47/51.32≒0.652
図3におけるL/S比は0.652となり、0.9未満なので答えは“脂肪肝”ということになります。
今回は「脂肪肝」についてご紹介させていただきました。
「脂肪肝」や「中性脂肪」などなんだか耳が痛くなる言葉ばかりですが、食事や運動など生活習慣を気を付けることで予防できるのなら頑張りたいところですよね。
また検査画像も視覚的な情報だけではなく、数値的にも見られるということが伝わっていたら嬉しく思います。