最近テレビ番組やCMなどでよく耳にするようになったCOPD*1という言葉。
「喫煙と深い関わりのある病気だ!」と、ピンと来る方も多いのではないでしょうか?
COPDは“慢性閉塞性肺疾患”の略で、主な症状として咳や痰、労作時の息切れといったものが挙げられ、慢性的な肺の炎症性疾患の総称として呼ばれています。
今回はこういった症状の中でも“労作時の息切れ”の原因と考えられる「肺気腫」について、画像と共にご紹介していきたいと思います。
その前に、、、
*1: COPDとは、Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略。
~肺と呼吸の関係~
私たちが鼻や口から吸いこんだ空気は気管・気管支を通って肺に入り、気管支が枝分かれを繰り返した末端にある「肺胞」という小さな袋へと集まります。
この「肺胞」の周りには毛細血管が張り巡らされており、この毛細血管の中では赤血球に酸素を与え、代わりに二酸化炭素を取り出す「ガス交換」が行われています。
空気を吸い込むことで血液内へと与えられた酸素は心臓へ戻ったのちに全身へと供給され、代わりに受け取った二酸化炭素は鼻や口から排出される「呼吸」という機能を果たします。
~肺気腫ってどんな病気?~
肺気腫とは肺胞の壁が壊れていく病気で、周りの肺胞にもゆっくりと広がっていきます。
壁が壊れてしまった肺胞同士が合わさると大きな袋状となり、この壊れた肺胞によって出来た大きな袋は、伸び切っていて弾性がないため、肺そのものの弾力性も失われ呼吸機能の低下へとつながり、その結果“息切れ”といった症状が現れるようになります。
また、壊れた肺胞は元に戻らず「ガス交換」も十分に出来なくなるため、血液中の酸素濃度の低下も見られるようになります。
~肺気腫をCT画像で診てみよう~
図1の左側が正常な肺の画像、右側が肺気腫の画像となっております。
左側の正常画像において、糸のように白く伸びているものが血管、灰色の部分が肺実質と呼ばれる空気を含んだ肺胞たちが詰まっているところとなります。ちなみに、肺胞の内側は「実質」と呼ばれますが、肺胞の外側は「間質」と呼ばれています。
右側の肺気腫の画像において、緑の丸で囲った部分は正常な肺と比べて黒く抜けている部分があることを確認出来ますでしょうか?
この黒く抜けているところが壊れた肺胞同士でくっつき大きな袋状となった部分で、周りの組織よりもX線の透過性が高い空気を多く含むため、このように黒く写ります。
しかし、このように黒くなってしまった部分は肺としての機能を十分に果たせず、また残された正常な部分でこれまでと同じ量の呼吸をしなければならないため呼吸の回数が増え、結果として息切れや息苦しさといった症状へと繋がるのです。
~最後に~
肺気腫の主な原因は喫煙と言われており、悪化すれば酸素ボンベが手放せない生活になってしまう病気です。
息切れ・息苦しさから呼吸に使うエネルギーが増え、また運動を拒むようになるため筋肉が落ち痩せてしまうことも特徴のひとつで、一度壊れた肺胞が元に戻ることはないため完治することはなく、禁煙など進行を遅らせる方法や気管支を拡張させる薬を使うなどの治療が行われるそうです。
こうならない為にも、症状が出ていないうちから喫煙されている方はたばこの本数を減らす努力をするなど、少しでもストレスのない人生を歩むために取捨選択していければいいなと思います。