肺の病気シリーズ第1弾「肺気腫」、第2弾「気胸」に続いて今回は第3弾!
「無気肺(むきはい)」についてご紹介させて頂きたいと思います。
~無気肺ってなに?~
無気肺とは、肺の一部あるいは全体の空気量が減少し肺がしぼんでしまった状態をいい、重症化し肺全体がつぶれると換気量も低下するため呼吸障害を引き起こす危険性もある病気です。
また無気肺にはいくつか種類があり、気道が閉塞することで肺に空気が入らなくなり起こるものや、肺の炎症や繊維化などによって肺胞の周囲が厚く硬くなり、肺胞がうまく膨らめず無気肺となるものなど、同じ無気肺でも原因は人によって大きく異なります。
今回は腫瘍や膿瘍などの肺の病気や胸水などによって肺胞が圧迫されて起こる“圧迫性無気肺”について、画像を使って一緒にみていきたいなと思います。
~CT画像で無気肺をみてみよう~
図1は胸水による圧迫性無気肺のCT画像で、左側の画像を色分けし加工したものを右側に表しました。
図1右側の画像において、水色で囲ったところが胸水と呼ばれる肺の外に溜まった水、ピンク色で囲ったところが胸水によって圧迫され一部空気量が減少した肺、緑色で囲ったところが少し胸水は見られますがほぼ正常に膨らんだ状態の肺となります。
ピンク色で囲った肺は緑色で囲った肺と比べて3分の2ほどしか膨らんでいないため、換気量も低下し息苦しさや息切れといった症状が現れます。
図1:胸水による圧迫性無気肺のCT画像
図1と同一患者さんのレントゲン写真を図2に表しました。
図2左側の写真において水色で囲った部分の白く写っているものが胸水なのですが、図2右側の写真を見ていただくと白い影がなくなっているのがお分かり頂けるかと思います。
このように胸水による圧迫で無気肺となった場合、無気肺の原因である胸水を抜く(除水する)ことで無気肺やそれに伴う呼吸障害などが改善します。
図2:胸水による圧迫性無気肺(図1と同一患者)のレントゲン写真
~まとめ~
「肺気腫」「気胸」「無気肺」と3回にわたって肺の病気についてご紹介してきました。
息苦しさや息切れといった症状だけでもさまざまな病気が隠れており、今回紹介した3つの病気はほんの一部で、息苦しさや息切れといった症状を引き起こす病気はほかにもたくさんあります。
毎日健康的で活力ある日常生活を送るためにも症状があれば早めにチェックしバランスの摂れた食事をとり、ご自身にあった運動をこなすなど理想的な生活に少しでも近づけるよう皆さまも、私自身も頑張っていけたらなと思います。
下記の記事も合わせてお読みください♪
「その息切れ本当に大丈夫?肺の病気vol,1~CT画像で見る“肺気腫”~」
URL:https://midori-hp.or.jp/radiology-blog/web20200313/
「その息切れ本当に大丈夫?肺の病気vol,2~CT画像で見る“気胸”~」
URL:https://midori-hp.or.jp/radiology-blog/web20200410/