そのお腹の痛み大丈夫??CT画像から見る虫垂炎、放射線技師が教えます!

こんにちは、みどり病院のとある放射線技師です。本日は虫垂炎についてお話させていただきます。虫垂炎とはいろいろな原因で虫垂に炎症が起こる病気で、一般的には”盲腸(もうちょう)”とも呼ばれています。虫垂炎とはなにか一緒に見ていきましょう。

虫垂とは・・・

まず虫垂とは右下腹部にある、大腸の入り口付近にある盲腸という部分にくっついた細長い袋状の臓器です、下記の図1と図2にCTであらわした正常な画像を載せています。

図1:CT画像を患者さんと向かい合う向きで画像を再構成した冠状断面です。画像右図に赤い丸が正常虫垂です。

図2:患者さんの足元から頭へと向かう向きで画像を構成した横断面、赤い丸が正常虫垂。虫垂は正常だととても小さく同定が困難です。医師ならびに放射線技師は解剖学的に考え探していきます。

虫垂炎とは??

虫垂の炎症は次に示す①~③が原因で起こると言われています。
それでは観て行きましょう。

①糞石などで虫垂が閉塞
②虫垂がねじれる
③不規則な生活、便秘、過労、ストレス

これらの要因で閉塞を起こしたり、捻じれることにより血行が悪化して、炎症が起こると言われてます。
さらに悪化すると膿がたまり、虫垂に穴が開きます。
すると膿がお腹に排出されることにより、腹膜炎をおこします。
それにより敗血症となり時には命の危険がある病気でもあります。

どんな症状が?

初めの段階では、心窩部(みぞおち)や臍の周りの痛みや不快感、、嘔吐食欲低下等の症状が見られます。炎症が広がるにつれ虫垂のある右下腹部に痛みが移動していきます。
下記に症状をまとめてみました。

①心窩部・臍周辺の痛み
②悪心・嘔吐・食欲不振
③右下腹部に痛み
④発熱

このように症状が①~④のように変化していきます。

CT画像から見る虫垂炎とは?

下記の図で虫垂に炎症がおきている写真を提示していきます。

図3:冠状断面のCT画像です。左図の赤い丸が正常虫垂で、右図の赤い丸が虫垂炎です。

図4:左図は正常虫垂を拡大した図、右図は虫垂炎を拡大した図

図5:横断面からみた画像。左図が正常画像で右図が虫垂が腫れている、虫垂炎です。

どうでしょうか??虫垂は正常だととても小さく解りにくいですが、炎症がおきるとなかで膿が形成されることにより、大きく腫れます。
これにより虫垂炎だと診断ができます。

治療

治療には薬による方法と手術をして虫垂を切除する方法があります。

〇薬による方法は、炎症が軽いときに抗生物質等の投与により炎症を抑える治療をします。再発する事もあります。

〇手術する方法は、開腹して虫垂を切除していきます。炎症が周囲に広がっている場合には小腸と大腸の一部を切除することもあります。

おわりに

CT画像から見た虫垂炎の情報、みなさんのお役に立てましたでしょうか?
もし記事にある症状など、気になることがあれば、お近くのクリニックまたは病院の先生にご相談してください。

CTがなかった時代は、症状を頼りに「疑わしければ手術」をすることもあったようです。もちろん、その場合は実際に臓器を確認して虫垂炎ではないこともありえました。

今はCT、超音波検査(図6)、その他様々な画像診断機器が開発、普及したおかげで、虫垂炎をはじめ多くの病気をより速く、より正確に診断し、治療できるようになりました。これからも医療技術の発展を、患者さんに還元できるよう、私たち現場の医療スタッフも知識とスキルをアップデートしていきたいと思います。どうぞ安心してお任せください。

図6:左図がCT(Computed Tomography)右図が超音波検査機