些細な転倒にもご注意を!!四大骨折の1つ大腿骨骨折をご紹介します。その②~写真の撮り方編~

放射線科

前回は大腿骨頸部(股関節)骨折の写真、手術についてお話しましたが、今回実際に写真をどのように撮影しているのかご紹介したいと思います。
まだ前回の記事をご覧になってない方は、もしよければ併せてご覧ください。
〈前回内容:些細な転倒にもご注意を!~4大骨折の1つ大腿骨骨折を放射線技師がお話します~〉
https://midori-hp.or.jp/radiology-blog/web20210412/

○撮影前に検査を受ける皆様へお願い

実際に転倒などして骨折が起こるときは、突然であり準備などとても出来る状態ではありません。股関節のレントゲンは手術後や退院時など少し落ち着いてからも経過観察のため写真を撮るので、その撮影前に気をつけて欲しい点、申告して欲しい点についてご説明します。

①ズボンにチャックや金属、ベルトが有る場合は少し下げていただくか、検査着に着替えをしていただきます。最近は、下着にもボタンや刺繍があることがあり、誤診の原因にもなるため、検査が分かっていたら、出来るだけ避けてください。

②腰からお尻上部にかけて、湿布などの貼り薬を貼られている方は剥がしてからの検査をお願いしているため、検査当日朝貼り薬を貼るのはできるだけ控えてください。冬場はカイロを貼っている場合は事前に申告してください。

そして、レントゲン撮影をおこなうベッドはかなり固いため、高齢で円背の強い方や背骨(胸椎や腰椎)を骨折されている方は寝る際にとても痛みを感じ、仰向けに寝れないことが多々あります。この場合、正確な写真が撮れず診断に影響を与える可能性があるため、事前に申し出をしてください。
多少の緩和策を用意しております・・・完全に痛みをとることはできませんが(-_-;)

○股関節の写真は通常2枚セットで撮影します。

当院の一般撮影(レントゲン)の股関節撮影は
① 正面撮影
② 軸位撮影
の2枚を1セットで撮ることが多いです。骨のズレが大きい骨折であれば正面撮影のみで骨折の判断が出来ますが、ズレがほとんどなくヒビ割れ(骨折線)が見にくい場合は軸位撮影で骨折が判断できる場合もあります。では、実際にどのような写真なのか紹介していきます。

①正面撮影

これが基本的な撮り方で、どこの病院、クリニックでもまずはこの方法で撮影します。
左右両方の股関節が1枚の写真に写っているので、左右の骨の状態をみて比較することもできます。大きな骨のズレを伴う骨折であればこの1枚の写真で骨折があるかどうか判断ができます。仰向けに寝ていただき、上から下へエックス線を当て撮影をします。

Pic1,2. 股関節正面撮影(1枚目:撮影体位、 2枚目:撮影写真)

②軸位撮影

こちらは撮っている施設と、代わりに(次の項で紹介する)ラウエンシュタイン法を撮っている施設と色々あります。私も、前施設では軸位撮影ではなくラウエンシュタイン法で撮っていました。

軸位撮影というのは股関節を斜め方向から撮影し、股関節頚部を詳しく見ることができる撮影方法です。この方法はかなり機械(X線管球)をアクロバティックに動かすため、施設によっては部屋が狭くできない場合もあります。そして角度調整が難しいため位置を合わせるのに時間もかかり、撮影時間自体長くなってしまいます。

しかし、犠牲にしたものが多い分メリットもあり、情報が多い写真を撮ることができ骨折の判断がしやすい写真を撮れます。そして、1番のメリットは患者さんの痛みを軽減して写真を撮れることです。
ラウエンシュタイン法では、痛い足(骨折してるかも)側を動かして撮影するため、激痛が生じます。そして、動かし方次第では悪化してしまう可能性もあります。

一方軸位撮影では、痛くない足(反対側の足)を動かして撮影するため、痛みを最小限に抑えることができます。

Pic3,4. 股関節軸位撮影(1枚目:撮影体位、 2枚目:撮影写真)

○股関節の撮り方は他にもあります。

●ラウエンシュタイン法

先ほども少しだけ出たラウエンシュタイン法という方法があります。
こちらは斜位撮影に近いですが、痛みがある方の足(下の写真では右足)を横に倒していき斜めにして写真を撮ります。こちらの方法はⅠ法、Ⅱ法と2種類の撮り方があります。
当院でも、両側に痛みがあり(本来痛みがない方の)足も曲げられない方にはこの撮影方法で写真を撮っています。

Pic5,6,7. ラウエンシュタイン撮影(1枚目:Ⅰ法撮影体位、 2枚目:Ⅱ法撮影体位、 3枚目:撮影写真)

●股関節開排位

こちらの方法は大人ではなく、乳幼児の股関節を撮る撮影方法です。膝を立てて両足をガバッと開く、いわゆるガニ股の姿勢での撮影体位です。
生後3ヶ月~4ヶ月の乳幼児も先天性股関節脱臼や股関節形成不全などで股関節のレントゲンを撮ることがあります。乳幼児の撮影は技師1人では困難で、複数人で撮影するか、お父さんお母さんにお手伝いしてもらうこともあります。
当院では、ほとんど撮ることは無いですが、何かの参考になれば幸いです。

○さいごに

コロナウイルスの影響で、お出かけの機会も減り、特に高齢者の方は身体機能の低下により、転倒のリスクも増えています。股関節骨折は比較的起こりやすい骨折ですが、動けない程とても強い痛みを伴います。我々放射線技師は無理のない範囲での撮影を心がけていますが、レントゲン撮影の際や撮影台への移動の際に叫び声が出るほど痛みを感じる場合があります。
股関節骨折の1番の原因は転倒です。皆様、まずは骨折が起こらないよう転倒を防ぐ行動(歩くとき、立つ時座る時は、ゆっくりと。何かにつかまって)を心がけてみてください。

そして、今回紹介した撮影方法はそれぞれに適した場面があります。骨折が疑われた時は、その場で医師や放射線技師がベストな撮影方法を選んでくれるはずです。
どの方法でもまずは骨折が診断できるかどうかが重要になります。今日お話しした撮影方法にどこかで出会ったら、「あ、この撮り方、みどり病院のブログで説明していたなぁ」と思い出していただけたら嬉しいです。
最後までお読み頂きありがとうございます。次回もお楽しみに。

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