心臓外科医に聞く!術前術後の画像検査〜より安全に心臓手術を受けていただくために〜

こんにちは。みどり病院放射線技師のOです。
当院では、弁形成術、弁置換術、メイズ、冠動脈バイパス手術などの心臓手術を行っています。これら手術をする際は、CTや超音波といった様々な画像検査を事前に行います。
そこで、今回は放射線技師が携わる心臓手術の検査について、心臓血管外科の先生に様々な質問をしてお話をお聞きしたのでご紹介します。

●放射線技師と心臓手術

手術中は直接患者様に関わる機会はありませんが、術前(入院時)と術後(まだ意識がはっきりしない方が多い)に胸部のレントゲン写真を撮影しています。
そして、翌日からは毎日お部屋まで出張レントゲン撮影を行い、状態が安定(元気になってきた)したら今度は患者さんにレントゲン撮影室まで来ていただき胸部の写真を撮って帰っていただきます。
関わる時間は僅かですが、しばらくの間毎日お会いするため顔を覚えていただけると嬉しいです。

Pic1(左から)術前(入院時)、手術直後、手術後2週間の胸部レントゲン写真

手術の前には、CTやMRIの検査も行います。CTは頭部から骨盤(股下辺り)まで撮影し、場合によって造影剤を使用した冠動脈(心臓)CT検査を行う場合もあります。
MRIは頭部と頚部の血管を中心に脳梗塞の有無などの検査を行います。

Pic2(左から)術前CT 頭部、胸部、腹部

Pic3(左から)術前MRI 頭部(FLAIR)、頭部(MRA)、頚部(MRA)

そして、これらの検査に追加して心臓カテーテル検査を手術前に行うこともあり、我々放射線技師も携わります。心臓カテーテル検査では、カテーテルを使用し冠動脈を直接造影することができ狭窄の有無を確認できます。

Pic4(左から)術前カテーテル検査 左冠動脈造影、右冠動脈造影、右心カテーテル検査

○心臓血管外科の先生へ様々な質問をしてみました

手術後に毎日レントゲンを撮りますが、たまに患者さんから毎日必要なのか聞かれることがあります。毎日撮る理由、どのようなところをチェックしているのか教えてください。
手術後、毎日胸部写真を撮り心臓の大きさをみて体液量が適正か判断しています。その他手術後は点滴等いくつかの管が入っているため管の位置が問題ないかもチェックしています。
術前に行うCTやMRIは手術の内容により施行するかどうか決めているのですか?どのような情報に注意して確認しているか教えてください。
CTの検査では解剖学的位置異常の有無や、人工心肺の装着部位の性状を確認するため、全例撮影を行っています。また造影剤を使用した方が心臓、大血管などのより詳しい情報が得られます。
頭頚部MRI検査では、撮像するMRAやFLAIRといった画像で頚動脈狭窄や脳梗塞がないかより詳しく確認をおこなっています。
こういった検査は手術のリスクを評価し、安全に手術を行うため行います。このとき肺がんや腎がんなど病気が見つかった場合は心臓の手術を延期して、先にこちらの治療を行うこともあります。
あと、手術前にカテーテル検査を行う患者様もいらっしゃいますがどういう患者様が対象ですか?
冠動脈に狭窄など病気がある方はより正確な評価のためカテーテル検査で冠動脈造影を行っています。このとき弁膜症の手術の方は右心カテーテル検査も行い、心機能評価を行うことがあります。この検査で本当に手術適応かどうか、他の隠れた疾患が原因にないかを調べています。
放射線科の画像検査について、心臓外科手術の視点から何か改善すべき点、将来に向けた期待等あれば教えてください。
昔に比べCTの性能が良くなり非侵襲的な検査で様々な診断ができるようになったので、血管の走行や長さ、骨の位置の詳しい3Dデータ等の情報が有れば手術前に詳しい情報を得ることができます。胸を開ける前から詳細な画像情報があれば私たちも安心して手術を行うことが出来ます。これからも手術の鍵になる画像を構成(作成)して手術のバックアップをして貰えると嬉しいです。
あと、MRIで心臓検査ができたら・・・・
心臓手術前に色々な検査をすることで、万全を期した態勢で手術を行い、術後の合併症のリスクも減らすということがよく分かりました。
わたし達放射線技師も、患者さんにとって心臓手術がより安全となるよう、画像検査を通じてサポートしていければと思います。これからも心臓外科医の先生から日々学ばせていただきます。本日はありがとうございました。

〇さいごに

今後も私たち放射線技師は、画像検査を通じて手術を受けられる皆様の治療のお手伝いを行っていきますので、検査の時はどうぞお気軽に声をかけてください。検査中に何か分からないこと、不安に思ったことがあれば、いつでも声に出してお話ください。