なぜ顔の撮影?発熱外来(コロナウイルス疑い)患者のレントゲンはこんな写真も撮っています

放射線科

この記事を書き始めたころ新型コロナウイルスは再流行し、「第6波」の渦中にあります。記事が掲載されるころにはまた落ち着いているでしょうか・・・
当院では、最初のコロナウイルス流行時から発熱外来を開始し、抗原検査やPCR検査等さまざまな検査に加え、私たち放射線科では胸部のレントゲンやCTの撮影を行い患者さんの診断サポートを行ってきました。

その時、よくレントゲンオーダーの中で
●胸部立位
●Waters
●Caldwell
という3枚の撮影をすることがありました。
レントゲン撮影は「見たいもの」に応じて適切な撮影方法を選択することで、的確な診断に繋げることができます。
今回は私たち放射線技師以外の方にはあまり耳にする機会のないWaters、Caldwellといった各撮影方法についてご紹介します。

私たち放射線技師がレントゲン撮影方法を学ぶ教科書があり、およそ200種類くらいの撮影方法が載っています。(載ってないマニアックな撮影方法もあります)
そこには、先ほどの(恐らく考案者であろう)人の名前のついた撮影法もいくつかあります。今回ご紹介するWaters、Caldwellという撮影は顔の撮影方法で、正確には鼻の奥の「副鼻腔」というところを撮影する方法になります。

○副鼻腔について

副鼻腔とは鼻の奥にある空洞で、左右4個ずつあり鼻粘膜の乾燥予防や空気ろ過に関与しているとされています。アレルギーや風邪などによりウイルスや細菌が鼻腔に感染し、副鼻腔まで炎症が起こると「副鼻腔炎」となり、下の図の赤い部分が示すように水や膿が溜まります。

Pic1.副鼻腔解剖

新型コロナウイルスの初期の流行の時に「においを感じにくくなる」といった嗅覚障害が話題になりましたが、今回ご紹介するような副鼻腔のレントゲンやCTといった画像検査を受ける場合があります。

○撮影方法と写真(※施設や技師により方法が異なる場合があります)

当院では、座って取ることが多いですが、患者さんの年齢や状態により立って撮ったり、寝て撮る場合もあります。X線の撮影台に顔をつけて顎を少し上げ角度をつけて写真を撮ります。WatersとCaldwellの違いは顔の角度の違いで、写真の見え方も変わってきます。

撮影方法(1枚目:Caldwell 、2枚目:Waters)

写真を見て頂くとWatersはかなり顔を上げて撮影するため、患者さんによっては首を上げられない場合もあり、必要に応じてX線の機械に角度をつけて撮影を行います。

撮影時は、正確な写真を撮るために角度計(自作)を使用しています。そして、撮影時は頭や顔を触るため抵抗がある方も多いと思いますが、なるべく動かず我慢していただけるとすぐに撮影が終わりますし、綺麗な写真が撮れるので少しばかりご協力よろしくお願いします。

○実際の写真は

では、先ほどの撮影方法で撮ったレントゲン写真をご紹介します。以下の写真で左がCaldwell、右がWatersの写真です。

1枚目:Caldwell、2枚目:Waters

同じ患者さんの写真ですが、全然見え方が違います。水や膿が溜まるとX線の透過性が悪くなり白く見えます。副鼻腔は左右対称にあるため、左右の濃度を比較して溜まっているかどうかの判断をすることが多いです。
※レントゲン写真は前にいる相手の人と向き合っているイメージで、写真の左側が顔の右、写真の右側が顔の左となります(顔の右がわかるようにRのマークが入っています)

では、先ほどの写真を見てみると、Caldwell 、WatersともにRのマークがある右側の上顎洞(黄線で囲んでいる所)が左に比べて白くなっており、水や膿のようなものが溜まっています。

水や膿があまり溜まっていない場合はCTやMRIでも見ることができます。
CTやMRIの方が詳しく見ることができますが、被ばく量が多くなったり検査時間が長くなるなどデメリットもあります。しばしば、胸のCT検査を受けられる方は場所が近いため副鼻腔のCTも一緒に受けることがあります。もし副鼻腔の検査を受けられる場合は、かかりつけの先生と相談して最適な検査を受けてください。

副鼻腔(1枚目:CT、2枚目:MRI)

○さいごに

今回紹介した撮影は顔のマスクをしている部分の撮影となり、マスクの鼻にある針金(ワイヤー)が写真に影響がある場合があります。受診する先生の指示によって検査の間のみマスクを外して頂く場合がありますのでご了承ください。
また、当院放射線科では感染対策として検査後の清拭や換気を徹底して行っています。検査の状況・内容によってはお待ちいただく場合もありますのでご協力よろしくお願いします。

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