日本と韓国の介護保険制度の比較~日本から一番近い外国、韓国~

こんにちは、地域連携室のKです。
今回は私の大好きな韓国についてお話ししたいと思います。

6、7年前から年に2~3回渡韓していますが、元々は辛い物が苦手で韓国には興味がありませんでした。
友人が仕事で頻繁に渡韓していることからその友人に誘われて一緒に行ったことが韓国が好きになったきっかけです。実は随分昔にも韓国には行ったことがありました。日本で冬のソナタが流行る前でヨン様のようなスターはおらず、道路も整備されていませんでした。公道から入った道はガタガタであったと記憶しています。
ですが、現代は韓国トレンドやK-POPアイドル・韓流スターに関する話題を毎日のように耳にするようになり、ソウルの街並みはおしゃれで中高年から若者たちまで楽しめる空間が点在しています。

年に何度も渡韓するようになった理由
その1 お気に入りのコスメが手頃な価格で購入できる。
その2 自分磨き・自己満足の範囲でエステサロンの最新美容が安く受けられる。
その3 高校生の息子も買って来るのを楽しみにしている年代別のおしゃれな服やバッグが購入できる。
その4 辛くなくて美味しい焼肉や、たれに漬け込んだ蟹のカンジャンケジャンなどが食べられる。
その5 素敵な街並みにおしゃれなカフェが沢山ある。
上記の他にも安い値段で航空券が購入でき1泊で十分ストレス発散ができることが魅力です。

高齢化と少子化 ~少子高齢化の進む日本より更に急速に少子高齢化が進む韓国~

では、ここからは本題に入りたいと思います。そんな韓国も日本と同様に早いスピードで少子高齢化がすすんでいます。グラフからも分かるように韓国は世界最速で高齢化が進行しました。日本と同様に教育負担の増加、結婚と子供に対する価値観の変化が理由であると考えられます。

出典:我が国は世界で最も高い高齢化率である(内閣府)(2020年5月1日)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_1.html

(注)内閣府資料を基に作成
合計特殊出生率:人口統計上の指標で、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示す。

介護保険制度の比較 ~両国共数年おきに改正され見直しがされています~

高齢化による要介護高齢者の急増、核家族化も原因の一つである家族介護力の低下等の背景があり高齢者を社会全体で支えるしくみが必要となりました。その対策として日本で介護保険制度が導入されたのが2000年です。それから数年後日本と同様の問題を抱えた韓国は日本やドイツ等の介護保険制度を参考に老人長期療養保険制度を2008年に施行しました。

老人長期療養保険・介護保険の内容を以下にまとめました。

保険者:韓国では、医療保険制度の運営全般を担っている保険公団が保険者となっており、制度にかかわるほぼ全ての実務を一元化して行っています。一方日本は医療保険制度において市町村の役割が大きく、これまでのサービス提供の実績があったため市町村が行っています。日本の介護保険についての細かいルールは各市町村が窓口で行っているため全国一律で運用することは難しいのが現状です。
仕組み:両国共、社会保険方式です。社会保険方式とは公費だけでなく加入者が納めた保険料によってまかなう仕組みです。社会保険方式以外には税方式を実施している国があり社会サービスの一環として行っています。
要介護度:要介護認定の流れは両国共同様で、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、その結果および主治医意見書を総合的に勘案して最終判定を行っています。2014年以前は韓国の要介護度は1等級(最重度)、2等級(重度)、3等級(中重度)の3段階で、1等級が日本の要介護5に相当する最も重い要介護度でしたが、3等級が広範囲であったため1等級から5等級に改定されました。
給付内容:給付内容の違いについては韓国では現金給付があります。介護事業者がない地域でサービスが受けられない場合と、条件はありますが、家族の中で療養保護士という資格を取得した人が事業所に登録して家族介護をする場合に現金給付があります。制度の導入初期に介護人材不足を懸念した取り組みで、日本にはない制度です。
自己負担:韓国の場合は財政支出の最小化という方針に基づいて、在宅15%、施設20%の負担です。日本は所得に応じて10%~30%の負担です。

まとめ ~韓国は一元化で総合的な社会福祉事業を提供、一方日本は地域によって問題やニーズが違うため行う事業も違うことから市町村が提供しています~

韓国と日本の介護保険制度は類似点も多いですが、それぞれ国の実情に応じた制度を運用しており相違点も多くあります。今後も両国でより多くの方々が制度の恩恵を受けられるよう改善されていくことを願いつつこれまで以上に多方面から日本の社会保障制度をより理解し患者さんへ貢献したいと考えております。
当院に通院中・入院中の患者さんや家族様で介護保険のことがよくわからない、相談したいことがあるといった場合は、病院スタッフに声を掛けていただければ説明することができます。他地域にお住まいの方で介護保険についての疑問や悩みがある場合は市区町村の介護保険課・高齢福祉課など各地域で名称は異なりますが、窓口で対面相談や電話相談が可能です。
この記事を作成している現在は新型コロナウイルスの蔓延で世界は混乱していますが、事態が終息し、世界の人々が安心した平和なくらしができることを心より願っています。

参考文献
宣 賢奎 (2010)日本・ドイツ・韓国の介護保険制度の比較考察
厚生労働省(2017)海外情勢報告 大韓民国
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/18/dl/t4-04.pdf