理学療法とは

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理学療法とは、病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある方々に対し運動機能の維持・改善を目的に運動・温熱・電気・水・光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

「理学療法士及び作業療法士法」第2条には、「身体に障害のあるものに対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。

対象となるのは、骨折やスポーツ障害などの筋骨格系の疾患、脳卒中や神経麻痺などの神経系疾患、肺気腫や肺炎などの呼吸器疾患、心筋梗塞や心不全などの心臓疾患、がんなどの悪性腫瘍、その他の術前術後の呼吸管理・訓練があります。

日常生活で行っている動作には、どんな動きがあるでしょうか?
朝の動作を例にとって考えてみましょう。

朝の陽ざしをあびて目覚めたあなたは、大きく伸びをしてベッドから起きようとしています。布団をめくり、体を横にして、ひじをつき起き上がります。
ベッドに腰かけました。
さあ、立ちましょう。
さあ、歩いて洗面所へ行きましょう。
顔を洗って、さあ朝食です!
これらの動作は、日常的な基本的動作ですが、先に述べた病気や障害などによりできなくなってしまうかもしれません。そんな方々が、今までの生活環境へ、愛する者のそばへ、あなたらしくいられる場所へ・・・早く戻れるように一緒に治療を頑張りましょう!

当院で心臓の手術を受けられた方ですが、術後すぐリハビリを開始し、起き上がり、ベッドに腰掛けることからはじめました。その方は、胸の傷の痛みが、術前に想像していたものより強かったため、起き上がる事を拒むようになっていきました。われわれ医療スタッフは痛みがなるべく抑えられて動けるように痛み止めの投与時間とリハビリの時間を調整し、痛みが軽減された状態で活動を広げていきました。常に患者に問いかけ、様子観察をしっかりと行ない、マンツーマンでの治療を行ないました。訓練途中には、投げやりな言葉やあきらめの言葉なども聞かれました。その時には、本気でおこり、諭すこともありました。しかし、退院時には「あの言葉で我に返りました。ありがとう」という言葉をいただきました。今その方は、海外旅行やスポーツなど人生を楽しんでおられます。

われわれは、治療を受けられる方々のお気持ちや人となりはもちろん、ご家族のお気持ちも考えながら治療にあたっております。

痛みを我慢しなければよくならないなどという古い概念は捨てましょう! 繰り返し行われる外部刺激により細胞・筋・神経などにフィードバックし再生を促します。

けがや病気になるのは一瞬ですが、そこから回復・再生していくには忍耐・努力・辛抱などが必要です。家族の協力も必要ですが、訓練・治療中には孤独になることもあるでしょう。そうならないように、いつも私たち治療者がそばにいます。あなたの“自分でできる”を応援します。

理学療法士 瀬尾 光代

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