転倒・骨折予防

昨年、12月1日にリハビリテーション科では、地域住民の方々向けに「転倒・骨折~転けない・折れない体づくり~」をテーマにリハビリ健康教室を実施させていただきました。

2013年から始まったリハビリ健康教室も今回で第10回を迎えることが出来ました。
27名の方にご参加いただき、大盛況に終わることができたと思います。
私は、入職して2年目ですが、初めて皆さんの前で講義をさせていただいたので、極度の緊張もあり、その日は朝からソワソワしていました。
約20分の講義でしたが、他のリハビリスタッフにも協力してもらい、参加される皆さんにいかに上手く伝えられるかを考え作成しました。

今回はその内容を簡単におさらいしたいと思います。

転倒・骨折は、日常生活活動の低下や寝たきりにつながり、介護を受ける大きな原因の一つと言われています。
ここで高齢者の方がなりやすい“4大骨折”を紹介したいと思います。

「4大骨折」とは

①「脊椎圧迫骨折」:背骨の骨折です。尻もちをついた時に受傷し、中には座った時の衝撃やくしゃみ程度の軽い衝撃でも骨折することがあります。
②「大腿骨近位部骨折」:足の付け根の骨折です。尻もちをついた時や、横向きに転けた時に受傷することがあります。
③「上腕骨近位部骨折」:腕の付け根の骨折です。転倒して、手や肘をついた時に受傷することがあります。
④「橈骨遠位端骨折」:手首の骨折です。これも転倒して、手をついた時に受傷することがあります。

※中でも、脊椎圧迫骨折と大腿骨近位部骨折は寝たきりなどになりやすいと言われています。
※もし、既に骨折をしてしまった方は特に気を付ける必要があります。
“二次骨折”といって再び骨折をする可能性が、骨折をしていない人に比べ“2倍”高くなるそうです。
中でも脊椎圧迫骨折の骨折歴がある人は再び脊椎圧迫骨折をする可能性は“4倍”、大腿骨近位部骨折をした方はもう一方の足を骨折する可能性が“4倍”高くなるそうです!

では、転倒・骨折してしまう原因とは何なのか?
加齢・筋力・視力の低下・感覚障害・カルシウム・ビタミンD不足・麻痺・喫煙・飲酒・認知機能の低下・バランス能力の低下・睡眠薬、ステロイド薬の服用・体型(やせ型・肥満型)・転倒歴・歩行補助具(杖や押し車など)がないと歩けない・住環境の不整備(室内の段差・電気カーペットのコード・こたつや布団・廊下や階段が暗いなど)など・・・。原因は様々で、ここでは挙げきれないほどたくさんあります。
今回は、みどり病院に新しく「骨密度を測る機器」が導入されたということで、「骨粗しょう症(骨密度の減少)」に注目しました。

「骨粗しょう症」とは

骨強度の低下により骨が脆弱化し、骨折しやすくなった状態のことをいい、先ほどの脊椎圧迫骨折でもあったように、座った衝撃やくしゃみなどのわずかな衝撃で骨折が生じることがあります。
高齢者、特に閉経後の女性に多いと言われていますが、近年では過度なダイエットや運動不足などで20代の女性でも発症すると言われています。
治療法として、薬物療法・栄養療法・運動療法の3本柱で行われています。
服薬や注射を行う薬物療法。
カルシウムやビタミンDの摂取が推奨されている栄養療法。
加えて、ビタミンDは日光を浴びることで活性化されるため、一日10分でも良いので日光を浴びることも心掛けましょう。
最後に足の筋力とバランス能力を鍛えることが特に重要となっている運動療法です。
運動をすることで、転倒の危険が最大50%抑えることが出来ると言われています。

当日は体力測定で参加者の皆さんそれぞれの転倒の危険値を測りました。
①片脚立ち(目を開けて)
②3m歩行テスト(Timed Up And Go:TUG)
③30秒椅子立ち上がりテスト
④前方腕伸ばしテスト(ファンクショナルリーチテスト)
の4項目実施し、ご自身が思っていたよりも、危険値より高かった人、低かった人、様々だったと思います。

最後に、転倒・骨折予防の自分でできる健康体操も実際にやってもらいました。
せっかくなのでここでもご紹介したいと思います。

①膝伸ばしの運動

1セット10回を目安に行ってください。
ゆっくり伸ばして、ゆっくり戻すとより効果があります。

②背筋の運動

これも1セット10回を目安にゆっくり行ってください。

③踵上げ(背伸び)の運動

手で支えながら天井に向かって、背伸びをして下さい。
これも1セット10回を目安に行ってください。ゆっくり行うとより効果が期待できます。

④片足立ち

手で支えながら、30秒を目標に行ってください。

⑤スクワット

膝がつま先よりも前に出ないように、腰を落としていく。
ゆっくり行うと効果的です。
これも1セット10回を目安に行ってください。

皆様もご自宅で取り組んでいただき、転倒・骨折を予防しましょう!

最後に・・・

日付・テーマは未定ですが、今後もリハビリ健康教室を開催すると思いますので、ぜひ奮ってご参加下さい。
ありがたいことに、毎回多くの方に申し込み頂き、定員に達した場合は募集を締め切らせて頂いております。
先着順となるため、院内ポスターやホームページ、自治会の掲示板などをチェックして、お早めにお申し込み下さい!
多くの方々のご参加をお待ちしております。