まだまだ寒い日が続いていますが、みなさんは体調を崩されたりしていませんか。
さて、今回のリハビリテーション科の記事では、ストレッチについてのお話をさせて頂こうと思います。
ストレッチは、筋肉などを“引っぱって伸ばす”ことですが、もちろん我々リハビリ領域だけではなく、スポーツ場面での怪我予防や高齢者の健康維持など広く一般的に行われています。
寝起きにグーっと背伸びをするのも立派なストレッチであり、誰しもが行ったことがあると思います。
「イタタタ・・・。わたし体硬いやろー?若い頃はもう少し柔らかかってんけどなー。」
先日、私の外来リハビリに来られた患者さんがおっしゃった言葉です。
この患者さんに限らず、同様の言葉はリハビリ室で良く耳にします。
一方で、スポーツジムに行くと、おそらく先程の患者さんと同世代であろう、おば様がマットの上でストレッチをされており、おもむろにベターっと開脚されているのを目にします。
“体が硬い=関節可動範囲が狭い”ということですが、関節可動域の制限因子は、大きく、関節構造自体の障害と関節周囲の軟部組織(皮膚や筋肉、腱など)の柔軟性の低下に分けられます。
骨折やリウマチによる骨の変形などで、関節運動の最終域で骨と骨が接触する感じがある方の場合はそれ以上のストレッチは禁忌となるので注意が必要です。
種々の疾患に加え、普段健康な方でも運動不足や加齢、姿勢の悪さ、ストレス、疲れなどで体が硬くなりますが、体が少々硬いからといってすぐに日常生活に大きな問題が生じるわけでありません。
ただ、体が硬いよりは柔らかい方が良いというのは何となくイメージできると思います。
では、体が柔らかくなることでのメリット、ストレッチの目的・効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
<ストレッチの目的・効果>
・関節可動域(柔軟性)の改善
・筋緊張の緩和
・血流増加、冷え性、むくみの改善
・代謝向上、ダイエット効果
・姿勢改善
→デスクワークやスマホ操作などで長時間同じ姿勢をとることで特定の筋肉が硬くなり頭部や肩が前方へ偏位したり猫背になったりと骨格の歪みにつながります。
・怪我の防止
→普段あまり運動をしない方や冬場など筋肉が硬く働きにくい状態のまま急に負荷をかかると肉離れや捻挫などの怪我につながります。
・運動パフォーマンスの向上
・疲労回復
→血行促進により、酸素や栄養が全身に行き渡りやすくなることで疲労回復につながります。
・睡眠の質の向上
・リラクゼーション効果
→副交感神経が優位に働くようになることで、心理的なストレスや不安が緩和されます。
・集中力向上 など
上に挙げたように、様々な効果のあるストレッチですが、大きく、静的(スタティック)ストレッチと動的(ダイナミック)ストレッチの2種類に分けられます。
<静的ストレッチ>
静的ストレッチとは、反動や弾みをつけず、同じ姿勢を一定時間キープし、動きのない状態でゆっくりと筋肉を伸張させるストレッチです。
みなさんが“ストレッチ”と聞いて思い浮かべるのはこちらの“静的”ストレッチの方かと思います。
筋肉をゆっくりと“痛気持ちいい”程度まで伸張していき、その姿勢を10~30秒キープします。
運動後のクールダウンや入浴後、リラックスしたい就寝前などに行いましょう。
<動的ストレッチ>
動的ストレッチとは、様々な方向に大きく関節を動かしながら、筋肉の伸張と収縮を繰り返すストレッチです。
誰もが知る身近な動的ストレッチとしてラジオ体操があります。
また準備運動として行う足の屈伸運動や首や肩、手首・足首を回す運動なども動的ストレッチです。
運動前のウォームアップや仕事の合間など、“これから頑張るぞ!”という時に行いましょう。
まさしく、“静”と“動”のストレッチと言えますね。
これら2種類のストレッチを生活の中で上手に使い分け、無理なく、そして継続して行い、ベターっと開脚とまではいかずとも、もうすぐやってくる暖かな季節を柔らかく健康的な体で迎えましょう。
今回お話したストレッチも含め、リハビリではそれぞれの患者さんに合わせた、自分でできる運動を指導させていただいています。
ご不明な点や質問などありましたら、リハビリスタッフへ気軽にお声掛けください。