HVS 2019への参加
倫生会 みどり病院
心臓弁膜症センター センター長 岡田 行功
今年の4月11日から13日までスペインのSitges Meliaで開催されたHeart Valve Society2019 (2019年弁膜症学会)に会員の一人として参加した。発表演題は高度三尖弁逆流に対するクローバー法による三尖弁形成術の早期成績であった。一般に高度三尖弁逆流に対する手術成績は不良であるとされているが、みどり病院での新しい取り組みは成績良好で、海外の友人たちと良い議論ができた。
さて、開催地はスペインバルセロナ空港から西へ30分程度車で移動した海岸辺りの小さな町であった。弁膜症外科治療で有名なカーペンター教授、ヤクー教授、ホセ教授、ロス教授、デユラン教授らが心臓に植え込まれる生体弁に関する学会を1997年当地で開催されたことが縁であった。それから22年を経過して、弁膜症の診断治療が大きく進歩した経緯が報告され、さらには2039年即ち20年後の弁膜症治療の方向性も示された。
世界の先進国では低侵襲の小切開手術、カテーテル治療による先端技術が目白押しであるが、一方後進国では感染症による弁膜症、特にリウマチ性弁膜症の広がりが依然として続いている。こうした世界の弁膜症疾患の診断治療にチームとしての取り組みが会長のタッケンバーグ女史より紹介された。
高齢化社会となった日本では高齢者弁膜症の診断治療が大きな課題である。弁膜症患者さんの日常生活の快適さと生命予後を改善できる治療法とそのタイミングに関して研究を重ねてゆきたいと考えている。