お話好きなTさんのこと

はじめに

Tさんはホームができた年の7月1日にご夫婦で入居されました。
Tさんは神戸生まれで生田神社の近くで育ったそうです。
若い頃は社交ダンスをされており、そこでご主人と出会われ結婚されたそうです。

薬種商時代

ご主人が薬剤師をされていたため、結婚後に薬種商(薬種商販売業 [やくしゅしょうはんばいぎょう]…旧薬事法で定められた一般用医薬品の販売業の1つ。改正薬事法による「登録販売者」資格の新設に伴い廃止された。)の資格を取得され、40代でご主人が会社を設立されてからはTさんが薬局を経営されていたそうです。
「仕事ばっかりしてきた」とTさんは話されます。
薬種商(協会?)の副会長をされていたこともあり、「600人の前で話をしたこともあった」と昔を振り返って話されます。
緊張していたらTさんのお母さんに「人やと思ったらあかんねん、ジャガイモやと思って話しぃ」と、言われ、そう思って話した。と、笑顔で教えていただきました。
私も600人とはいきませんがスタッフの前で話をするとき、緊張するときはTさんのジャガイモの話を思い出すようにしています(笑)。

苦労した

仕事一筋のTさんですが「苦労した。主人の両親が早くに亡くなったので義兄弟たちを学校に行かせて、一番下の義妹は8歳だったから私が母親代わりやった」と、苦労された昔の話を聞かせてくださいます。
明るく笑って話されますが、色々聞かせていただきますと、私にはとても真似できないようなご苦労をたくさんしてこられたのだと思いました。
一番下の義妹さんはよく面会に来られ、今年のお正月には手作りのおせち料理を持って来られました。
御兄弟たちはTさんたちにとても感謝されています。
「二人のおかげです」と義妹さんは話されていました。

客船飛鳥

70代で引退されてからTさんご夫婦は客船「飛鳥」でよく旅行をされたそうです。
ご夫婦の共通の趣味である社交ダンスを楽しまれたそうで、その時の写真が額に入れられ、お部屋に飾ってあります。
お二人ともキリっとされていてタキシードとドレスを着られてとても素敵に写っています。
「もう一回乗りたいなぁ」とご夫婦でよくお話をされています。
Tさんは「あんたも行っておいで、楽しいで」と話してくださいます。
「頑張って働いて行ってきますね」と私は応えました。
苦労をされたけれど、後には良いことが待っているんだなぁ。神様は見ている。と、Tさん夫婦を見ているとそんな思いになり“まだまだ頑張らないと!”という気持ちになりますし、“齢を取るのも悪くはないな”という思いになります。
Tさんの居られるもみじユニットは毎日女子会です。
会話の中心はもちろんTさんです。
今日も女子たちの黄色い笑い声が聞こえてきます。
元気!いただきました。