癒し系、、、穏やかな笑顔が素敵なFさんのこと

皆さんの妹のような存在?

もみじユニットの皆さんの妹分、Fさん(87歳)はいつもニコニコ笑顔が素敵な女性です。
特にいつもフロア席でFさんの隣に座っているYさんは、Fさんのことを時には本当の妹?時にはご自分の娘?だと思っておられるようで、食事の時はご自分のおかずを分けておられ、「まだ残っているじゃないの、ちゃんと食べてしまいよ」と優しく声を掛けておられます。そんなYさんに嫌な顔せず、Fさんはニコニコと応えておられます。
希の丘のもみじユニットは、夕食が済むと、夜間浴をされる方、歌謡曲のテレビを熱心に観られる方、お部屋に戻られご自分の時間を過ごされる方、色々な夜の過ごし方をされています。Fさんはその中の歌謡曲を見られる方と一緒に22時くらいまでテレビを観て過ごされることが多いです。一緒にテレビを観られるNさんからも妹のように、「この人に○○してあげて」と世話を焼かれています。そしてもみじユニットで最後から2番目の22時半ごろにお部屋に戻られ入眠されています。

大切な家族

Fさんは昨年の7月に入居されました。
Fさんの娘さんがホームに相談に来られ、「母の認知症が進んできて、今までできていたことができなくなってきたけれど、まだ出来ることがあるのにそれを自分がさきにしてしまい、母の出来ることを奪ってしまう自分が辛いです」と話されました。娘さんはお母さんを施設に預けるということに罪悪感を持たれていた様子でした。私たちは、希の丘で暮らされる前にFさんのことを伺うため、自宅に訪問させていただきました。訪問すると、娘さん、Fさんのご主人、Fさんとが三人並んでニコニコ笑顔で私たちを迎えてくださいました。色々お話を伺うあいだ中、Fさんは終始笑顔で時折娘さんやご主人の手を握りながら微笑んでおられました。お話を伺い、最後は娘さんも、ご主人も、希の丘でならまだ母が出来ることを手伝ってもらいながら、症状が進行しないように暮らしていけるのではないかと思われたようです。とても悩まれましたがご家族はFさんの入居を決められました。
Fさんの家を後にする前にホーム長が「Fさんはこれからどんなふうに生きたいですか?」と尋ねると、両隣りに座っておられた娘さんとご主人の手を握ってご自分の肩の高さまで挙げて「一緒、一緒」と答えられました。私たち皆もなんだか涙が流れました。私はご家族の大切なFさんを大切に迎えさせていただこうと心に強く想いました。

ご主人と大恋愛のすえご結婚

Fさんは神戸市で5人兄弟の末っ子として生まれ育ったそうです。Fさんとご主人は大恋愛の末結婚されたそうです。ご主人の一目ぼれで10代のころから交際されていたそうで、今でもご自宅にはご主人から届いたラブレターの束が置いてあるそうです。その頃のお話を伺う時はお二人ともとても嬉しそうに、でも少し照れながらお話してくださいました。伺っている私たちもほんわかと温かい気持ちになりました。
そして一人娘のMさんを授かり、大切に育ててこられたそうです。Fさんは子育て中は教育熱心で厳しいお母さんだったそうです。今のFさんからは想像ができないくらいです。娘さんが結婚されてからは、娘さんの子育てをサポートし、高齢になられてからは老人大学で社交ダンスやフラダンスを習ってこられ、その傍ら、カルチャースクールで茶道を教えておられたそうです。
そんな中、認知症状が進んできて、介護が必要になられたそうです。
自宅で過ごす間、週5回のデイサービスに通われながら娘さんやご主人の助けを受け、自宅で生活をされていました。

とても仲良し、おしどり夫婦のお二人

ホームに来られてからはいつもニコニコ笑顔でふんわりした存在で、もみじユニットのマスコットガールのような存在になられています。入居されてからまだ半年ですがすっかり馴染んでおられるように感じます。
時々ご主人が面会に来られます。とびっきりの笑顔で迎えるFさんをみているとこちらも嬉しい気持ちになります。普段は離れて暮らされていますがいつも心は通じ合っているんだなぁと羨ましくなってしまいます。Fさんとご主人は昼過ぎから夕方まで居室や時にはフロアで一緒に過ごされます。ご主人は、今ははなしづらくなられているFさんに一生懸命話しかけておられます。Fさんは自ら言葉を発されることは少なくなっていますが、ウンウンとうなずきながら笑顔で応えておられます。
夕方、ご主人は自宅に帰られる時は反対のユニットからそっと帰られます。Fさんが寂しがらないように、ご自身も寂しさを感じないように…ずっと仲良しのお二人です。

大好きな人たちに囲まれて

昨夜の出来事です。Fさんはいつも横に座っているYさんから自分の子供だと思われ、一緒にYさんの部屋に行かれて、しばらくYさんの部屋で過ごされたそうです。何も言わず、ニコニコ笑顔でYさんの傍らで過ごされて、Yさんの混乱も治まったようで、お二人とも朝までぐっすりと眠られたそうです。Fさんは同じ入居者の方の心も癒す笑顔の持ち主だと思いました。
これからもFさんにはご家族、お友達の入居者さんなど大好きな人たちに囲まれて笑顔で過ごしていただき、その中の1人に私も入れていただける様にFさんに関わっていきたいと思います。