第94回ヘルパー研修 ~社会問題ともいえる介護職員の不適切なケア(虐待)と法令遵守~

ホープ/希の丘

枝吉ヘルパーステーション ホープでは、去る8月24日と26日に第94回ヘルパー研修を実施しました。今回は「虐待(不適切なケア)・法令遵守」と題して、事前に2本の「不適切なケア」に関しての資料映像を視聴してもらい、密にならないように分散して研修を行いました。

■「不適切なケア」とは・・・

介護職員による明らかな虐待(意図的な虐待)はもちろんですが、たとえ自覚なく行っていたとしても、正しいとは言えないケアを「不適切なケア」と呼びます。

トイレの介助や食事の介助など必要なケアであっても、配慮が足りないばかりに利用者様の心を傷つけた場合や、ご本人が嫌がっている場合なども「不適切なケア」となってしまいます。日常の介護では、利用者様の安全や健康を考え、やむを得ず利用者様が望まない対応をすることもあります。また、すべてが介護される側の思い通りにならないこともあります。しかし、このような「不適切なケア」を放置しておくと虐待に繋がる危険性があります。

高齢者のことを思っての行為でも、高齢者が苦痛と感じたら、虐待の手前(グレーゾーン)です。自分の中で自分の行為を正当化し、その行為をあたりまえに続けることで、不適切なケアとなり、高齢者にとっては耐え難い行為になり、やがて虐待となってしまいます。
人手不足の状況下でのやむを得ない対応であったり、事故防止のためについ強い口調になってしまった、と言う場合もあるかもしれません。しかし、それは利用者様の尊厳を無視した不適切なケアとなってしまっている可能性があることを理解しておく必要があるでしょう。

介護全般についての知識不足があると、認知症の人への対応がわからなかったり、身体介護の仕方がわからなかったりすることでイライラしてしまうことになり、知らず知らずのうちに「不適切なケア」となってしまいます。高齢者虐待防止のためにも、介護される側の立場になってケアすることが大切です。

虐待は特別な場所や環境で起こるのではなく、どこにでも誰にでも起こることで、虐待を予防するには「不適切なケア」そのものを無くす必要があります。1人で考えないで、相談しましょう。対話の場を持ちましょう。「不適切なケア」を予防するには、職員一人ひとりの意識改善はもちろん大切ですが、それ以上に、「不適切なケア」の要因となる環境や仕組みそのものの改善に取り組むことが重要です。

■法令遵守(コンプライアンス)とは・・・「法令」=「ルール」を守ること

介護サービスは公益性の高い事業です。利用者様にとって不利益にならないよう、サービスの質を確保することが求められます。そのため、法令でさまざまな基準やルールが決められています。近年は税務署や労働基準監督署の調査指導が厳しくなり、毎年100件ほどの介護事業所の指定取消が発生しています。介護事業者は法令や倫理を守ってコンプライアンスの意識を高め、企業理念に基づくサービスを提供しなくてはなりません。

(守れていますか?・・・守らなければいけないこと!)
  • 利用者本位であること
    利用者様をいかなる理由においても差別せず、人としての尊厳を大切にし、利用者本位であることを意識しながらサービスを提供しましょう。
  • 守秘義務
    私たちは、職務を通じて知りえた情報を、ご本人やご家族の同意なしに正当な理由なく他に漏らしてはなりません。なお、この守秘義務は退職後であっても継続します。
  • 虐待防止と通報の義務
    虐待が疑われる証拠を発見した場合は、状況を精査の上、直ちに市町村にその事実を報告しなければなりません。事実を知っていたにもかかわらず通報をしないと、虐待をしているのと同じ罰則が生じることがあります。
  • 記録や報告の重要性
    サービスを提供した際には、提供日及び具体的な内容、利用者様の心身の状況、その他必要事項を記録しなければなりません。「いつもとお変わりありません」では、その時の状況がわかりません。利用者様とのコミュニケーションを取りながら、お身体の具合や何を求めているかなど情報を集めて記録しましょう。その日の情報は必ずサービス責任者に報告を入れましょう。

■研修を終えて

私達ホームヘルパーのお仕事は、限られた時間内に沢山のことをさせていただきます。
時間に追われる中でも利用者様とのコミュニケーションを大切にし、利用者様が何を思い、何を求めているかを察し、利用者様の安全や健康を考えて、常に利用者本位であることを頭に置いておかなければなりません。「不適切なケア」にならないように声掛けや立ち振る舞いにも気を付けて、日々のサービス提供に努めていきます。

「不適切なケア」「法令遵守」、どちらも私達一人一人が「守ろう」「気を付けよう」という意識を忘れることなく、サービスを提供していくことが大切です。定期的に研修をすることで改めて意識づけると共に、初心にかえって利用者様に寄り添うサービスをしていこうと思います。

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