枝吉ヘルパーステーションホープの安藤です。今回は10月に実施した第95回ヘルパー研修の内容を報告します。「介護事故の発生と防止」「緊急時の対応」について学びました。
■研修の前に
研修に先立って、参加者に次の事項についての説明と周知徹底及びアンケート調査を行いました。
*新型コロナウイルス感染症予防(継続)
*運営規定について
*感染予防指針について
*ハラスメント指針について
*虐待防止指針について
*処遇改善加算について
*「利用者等からの介護従事者に対するハラスメント調査」「介護職員ストレスチエックアンケート」
■介護事故イラスト事例集による研修
今回の研修では、わかりやすいイラストで見る介護事故事例集を活用して、誰でも一度は経験する介護事故の事例を見ながら、事故の発生や防止に関する意識を高めることを目的として行いました。
①なぜ事故が起きてしまったのか?
②その事故は予測できなかったのか?
③その事故は防ぐことが出来なかったのか?(事故を防ぐための手段・行動を考えてみる。)
④介護事故のリスクは日常生活の中に多く潜んでいる。(ちょっとした油断や慣れが引き起こす!)
以上4つの点に留意しながら、「介護事故の発生と防止」「緊急時の対応」について考えました。
‣テーマ1「介護事故の発生と防止」
過ぎ去った介護事故は、一個人の経験としてやり過ごすと、忘れられてしまいがちです。大きな事故になる可能性がある場合は誰もが気持ちを引き締め意識するものですが、在宅介護の場合はそれを妨げる隠されたリスクが多いといえます。
《介護事故防止に向けての検討》
- 検討(1)
簡略な事故事例文を提示し、介護スタッフはその短い文章から、自ら考え予測することにより事故を防止する場面を想像しました。事故の可能性を予測、回避するための行動について考える力を養うための研修です。 - 検討(2)
「起きてしまった事故」について考えました。介護スタッフは、起きてしまった事故の事例文を読んで、自分ならこの事故を予測できたか、自己分析しました。また、起きてしまった事故に対し自身が取るべき対応と、事故報告について学び、意見交換しました。
‣テーマ2「緊急時の対応」
在宅介護時に利用者が心肺停止に陥ったら「慌てず対応できるか?」「先ずは何を?どうすれば良いか?」について考えました。状況にもよりますが、先ずは利用者の身体状況確認と利用者(個々)から事前に聴取した希望の「緊急時の対応」手順による対応が望ましいとされます。
また、救急車を要請してから到着までの時間が、生死の分かれ道となる場合もあることを考えた対応をすることが大切です。研修では、訪問介護ヘルパーが特におさえておくべき緊急時の対応である心肺蘇生を、手順のイラストを用いながらシミュレーションしました。
心肺蘇生については殆どの人が未経験ですが、人の命を救うためには躊躇なく心臓マッサージを実施したり、AEDを使用したりすることが重要です。心臓マッサージ(胸骨圧迫)は動かない心臓に代わって全身の臓器に血液を送り込み、臓器が酸素不足で動かなくなってしまうのを防ぐ重要な救命方法です。
最近の研究では、成人の場合、一般の人が心臓マッサージと人工呼吸の両方を行った場合の救命率よりも、心臓マッサージだけを行ったときの救命率のほうが同じかやや高いことや、心臓マッサージによって心室の細胞が元気になり、AEDが効きやすくなることなども明らかにされています。
私たちは、特に高齢者を対象としたお仕事ですから、一般の方より心肺蘇生を必要とする状況に遭遇する確率が高いことを心にとめておきたいと思います。
■研修を終えて
この研修で一個人の記憶、経験を組織全体の記憶、経験として残し、その情報を事業所スタッフ全員で共有することの大切さを学びました。事故に至る可能性がある事例を個人レベルでやり過ごすことなくスタッフ全員の記憶に留める仕組みづくりは、事業所の運営にとってとても重要なことです。緊急時の対応に関する認識についても同様でしょう。私たちは今後、その仕組みづくりに積極的に取り組んでいかなければならないと思いました。