訪問介護サービスで「やってよいこと・いけないこと」&「今ある食材で考える献立」〜第98回ヘルパー研修〜

ホープ/希の丘

今回は、先日開催した第98回ヘルパー研修で学んだことを報告します。

1. やってよいこと・やってはいけないこと

介護保険サービスでは、算定できないサービスや訪問介護計画書にないサービスは、ご利用者の依頼であってもヘルパーの判断で行うことは出来ません。
訪問介護のサービスには、このような「介護保険上のサービスとして提供できるものか」という視点に加えて「倫理的に考えて提供すべきものか」というもう一つの視点が必要になります。

そこで「倫理的視点」について考えてみました。

こんな場合どうすれば良いのかな?

例)家族と同居であるが日中独居である利用者。
・利用者の部屋以外の共有スペースである玄関の花瓶が倒れていた。
・上がり框が水浸しになっている。
・利用者は、玄関を使用することは殆どないがトイレに行くときに玄関近くの廊下を通る。

さてこのような場合、“玄関を片付けること”について私達ヘルパーはどのように判断すればよいのでしょう。
「訪問介護計画書にないサービスである。」「共有スペースである。」「ご利用者が常時使う場所ではない。」「同居家族がいる。」などの条件はグレーゾーンであり、介護保険制度に基づくサービスとしては、基本的に提供の対象外です。介護保険制度対象外のサービスだから提供しないとする判断も妥当な一面があります。しかし、倫理的視点から見るとどうでしょうか。

倫理的な考え

・共有スペースであるが、家族帰宅までに相当時間がある。
・利用者が、トイレへ行く際に通らないとも限らない。
・利用者が、滑って転倒する危険性が考えられる。(転倒リスク)
・花瓶の水が床やマットに浸み込んでしまう。(放置できるか)
・利用者や家族と訪問介護員との信頼関係が崩れる可能性がある。

このように介護保険制度による訪問介護サービスの提供には、グレーゾーンとなることが多々発生します。
その場合、サービス提供しないことが正しいのでしょうか?
「倫理的に考えた」正しい判断について、いくつかの例を挙げて皆で話し合ってみました。

結 論

訪問介護計画書に記載されていないサービスの提供や同居する家族が居る場合は、基本的にはサービス行為は介護保険外サービスとなり提供することは出来ません。しかし、今回の例のように様々な条件が重なり、転倒リスクも考えられるような場合は、ヘルパーが玄関を片付けることが適切であると考えられます。介護保険での「サービス提供をしない」という判断は正しいですが、倫理的には不適切/不十分(介護保険外の自費サービスとして提供するべき)と言えます。判断に困ったときには、必ずサービス提供責任者に相談することを申し合わせました。

見極め判断のポイント

介護保険サービスの提供の見極めに際しては
「利用者ができること/利用者ができないこと」
「危険性がある」
「緊急性がある」
「日常生活に支障がある」

などの項目がポイントとなります。また、厚生労働省が示した「老計10号」(平成12年3月17日厚生労働省老健局老人福祉計画通知)の中に「訪問介護サービスにおけるサービス行為ごとの区分」があり、介護保険で算定できるサービス行為が記載されています。

2. 訪問介護サービス「ある食材で考える献立」

次に調理実施時の献立について考えました。ポイントは次の五つです。

ポイント

① 利用者の冷蔵庫に常時ある食材で考える。
② 傷みやすい食材から使用する。
③ 前日の献立と被らない。
④ 栄養バランスを考える。
⑤ いろどり、食欲がわく盛り付け。

調理実施で気を付けること

・食材を切る大きさや固さを考える
・好みに合う味付け・高齢者の身体機能に合った調理方法(咀嚼嚥下機能・上肢麻痺などを考慮)
・盛り付け
・その日の体調への配慮、生活習慣病予防の考慮
・衛生管理の徹底
・食品と薬の相互作用への注意

当日は冷蔵庫の残り食材で、簡単に・美味しく・手早く作れる献立の提案として職員が考えた献立を発表しました。ご利用者宅で簡単にできる一例です。

3. 研修を終えて

今回はいつもの研修のようなグレーゾーンのサービス実施における倫理的判断の考察ではなく、事業運営上の課題と調理実施といった日常的な課題を織り交ぜて考えてみました。日々の業務の中での問題意識、共通認識として共有したいと思います。

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