高齢者虐待をどう防ぐか?老々介護/認々介護/ヘルパー高齢化/介護難民などの課題を考える〜第99回ヘルパー研修〜

今回は、先日開催した第99回ヘルパー研修で学んだことを報告します。

■高齢者虐待研修「老々介護/認々介護/ヘルパーの高齢化」などによる介護難民について考える

2025年日本は超高齢社会を迎えます。この年には団塊の世代800万人(昭和22~24年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となり様々な問題が生じるといわれています。これがいわゆる“2025年問題”で介護難民がより一層増加すると予想されています。介護難民とは介護認定を受けていても、施設入所や在宅サービスなどの必要なサービスを様々な要因で受けられない人たちのことです。

その要因とは、“介護職員の高齢化と不足” “介護施設の不足” “社会保障費(財源)の問題” “核家族化” “医学の進歩で平均寿命が延びていること”などです。訪問介護職員は現時点でも50歳代以上が7割となっており高齢化してきています。人生経験豊富で応用力は十分にありますが体力的な衰えにより身体介護が難しくなってくることが懸念されています。

研修では、これらをふまえて“介護難民の増加によって増えることが予測される虐待”にはどのようなものがあるのかを職員皆で話し合いました。老々介護による家族の疲弊から、本人の希望に反して食事を与えないなどの身体的な虐待のほか、本人を無視したり、言葉による暴力などの精神的な虐待が増えるのではないかとの意見がありました。また、“介護難民にならないために今できること”も併せて考えてみました。“地域など外部の社会との接点を保って孤立しない” “健康を保つ” “自宅のリフォーム” “家族との同居・近居” “住みやすい場所への転居や移住”などの提案がありました。

■認知症研修「在宅生活を継続するために何が必要か」考えよう

認知症の人が在宅生活を継続していくためには“できることはやってもらう、できることを奪わない”ことが大切です。認知症の中で最も多いとされているアルツハイマー型認知症は末期に至るまで運動機能は保たれますが、日常生活機能の記憶は失われていきます。日常において生活行為が困難な場合でも、ヘルパーが見守りつつ工夫すれば、在宅での生活を継続できる場合もあります。

“できること”と“できないこと”を見極めることが大切です。“トイレの場所がわからない” “パット交換が出来なくなった” “薬の飲み忘れが増えた” “日時がわからない” “食べたことを忘れる” “更衣が出来なくなった”など「どうしたらいいのかわからない」時や、何もしようとしない場合には、介護者が、見守り→声掛け→物を見せる→模倣させる、というプロセスを意識して “すべてを代行しない” “出来ない部分だけを援助する”ことが重要です。この研修では、各自が、徘徊等いろんな場面に遭遇した時に今までどんな工夫をしてきたかを話し合いました。

介護者には、失敗を責めたり、否定してプライドを傷つけたりすることを避け、その人の“尊厳を守る”ことが求められます。また、認知症の対応は介護の知識がない家族にとっては大変なことです。夫婦、親子共に高齢になると自分のことで精一杯になってしまいます。私たちヘルパーは、共倒れにならないよう関係を見守りながら家族を支援していくことが大切です。

■研修を終えて

今回は我が国の構造的な課題を突き付けられた思いです。今後、出生率がこのまま上がらず少子高齢化が進めば日本の国自体の存続が危ぶまれる状況に陥ります。今の日本を支えている団塊ジュニア(1971~74)が数年後には介護難民の親世代を支えていくことになります。そして将来、その団塊ジュニア世代が後期高齢者になった頃には果たして介護保険制度が継続しているのか、誰が面倒見てくれるのか・・・。将来への不安は尽きません。私たちに出来るのは、今、それぞれの業務に励むことで、この国のより良い介護環境の実現に、僅かでも貢献できればとの思いを持ち続けることくらいでしょうか・・・。