接遇・ハラスメント被害についての研修~利用者さんと接するときの介護ヘルパーの心構え~

枝吉ヘルパーステーションホープの塩地です。
今回は当事業所で実施した‘ヘルパー業務における接遇とハラスメントについての研修’で学んだことを報告します。

■接遇について

訪問介護は施設での介護と違い、利用者さんのご自宅を訪問してのサービス業務となるため、利用者さんとの距離が近くなることで、なれなれしくなったり言葉使いが乱暴になったりしてしまうことがあります。しかし親しくなっても友達ではありません。また、クレームがない=接遇が良い、とは限りません。“本当は嫌だけど我慢している”“言いにくい”“文句を言っても仕方ない”と本音を言えない利用者さんもいます。

長年訪問している利用者さん、慣れ親しんだ利用者さんでも細やかな気配りを忘れず、「初心を忘れず、襟を正して真心を胸に介護のプロとして接すること」が大切です。

研修では、挨拶、身だしなみ、表情、態度、言葉使いなどで日頃から意識すべきことについて意見交換をして、「美しい所作と思いやりの心をもって、利用者さんに接すること」が心掛けとして大切なことを再確認しました。その他にも、「利用者さんとの距離感や目線の高さを意識すること」も日頃の心掛けとして重要だという意見が多くありました。

■ハラスメントについて

ご自宅を訪問しサービス提供する時にハラスメントに遭遇する場合もあります。ハラスメントに対する考え方は人それぞれで対応にもばらつきがあります。では、利用者さんやご家族からのハラスメントに遭遇した時、私たちはどのように対処するべきなのでしょうか。

ハラスメントをする側には何かしらの要因があります

(主な要因)

  • 利用者さんやご家族が病気や介護疲れで気持ちに余裕がないことでイライラした気持ちをヘルパーにぶつけてしまう。
  • 自分の状況が受け入れられず、いらだちや寂しさでネガティブな感情になっている。
  • 他人にデリケートな部分(陰部など)の介助をされる不安感、恐怖感、身体の痛みや不快感がある。
  • 介護サービスへの理解不足から「何でもしてくれる」と誤解して過度な要求をする。
  • ヘルパーが下着が透けて見えるような衣服や胸元が開いた衣服で活動していた。
  • 認知症や脳障害による理性の欠如による悪意のないセクハラ。
  • 精神疾患による一時的な変化。

など。

ハラスメントを受けた介護職員がセクハラ・パワハラを相談しなかった理由

(主な理由)

  • 相談しても解決しないと思ったから。
  • 認知症に伴う周辺症状だから、あきらめた。
  • 相談するほど大きな問題と思わなかったから。
  • 問題が大きくなると面倒だから。
  • 精神疾患に伴うもので仕方ないと思ったから。
  • 自分自身でうまく受け流して対応できているから。

など。

同じ行為をされてもハラスメントだと感じる人もいればそうでない人もいます。相談する時には、なぜハラスメントだと感じたかその理由を客観的に説明できるようにします。

ハラスメントへの対応方法

(主な対応方法)

  • ひるまず落ち着いた対応を心掛ける(悲鳴をあげたり大声で叱ると相手を刺激してしまう)。
  • 利用者さんの怒りのスイッチが入るきっかけに気づけばそれを排除する。
  • 認知症の行動、心理状況(BPSD)について理解を深める。
  • 悪意のあるセクハラは毅然とした態度できっぱりと断る。
  • 身に危険が及びそうなときは外に逃げる。
  • 利用者さんやご家族にハラスメントに対する内容を周知する。

など。

そして、自分の対応が悪いのかも・・・と相談しなかったり我慢したりしないようにし、理不尽な理由でのハラスメントがあった場合は、忘れないうちに報告しメモや介護記録に残すようにします。

介護現場でのセクハラ対応のポイント

①認知症など、利用者さんの状態を客観的に把握する。
②「やめてください」と意思表示する。
③利用者さんに関わる介護スタッフと情報共有する。
④事業所に状況報告し担当者変更などを相談する。

■研修を終えて

私たちは日常の業務において「これはハラスメントではないか?」ということを思ったり感じたりすることがあっても忙しさに流されて、ついつい記録や報告をせずに済ませたりすることがあるかもしれません。しかしそのことで問題をより深刻化させることになるかもしれません。そうしたことのないように、日頃から相談、報告、連絡を励行して間違いのない対応を心掛けないといけないと思いました。