認知症になっても安心して暮らせる町に

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認知症かな?と思ったら

認知症は95歳以上では約80%がなるなど、高齢化社会では誰にでも起こり得る病気です。
加齢による理解力の低下や物忘れは、程度に差はありますが自然な老化現象です。
老化では物忘れに対する自覚がありますが、病気といわれる認知症では激しい物忘れでも自分自身では気付きにくく、家族や身近な人が気づいて受診するという場合が多くみられます。
厚生労働省によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると予測されています。

もし自分や家族が認知症になったらどうしたらよいのでしょう。
認知症の治療は、ほかの病気と同じように早く気付いて適切な治療が開始できれば、症状の進行を遅らせることができます。
また周囲が病気を理解し、環境を整えることで症状が改善することもあります。

認知症チェックシート

認知症の診断には認知症チェックシート(http://web.pref.hyogo.jp/kf05/documents/27checksi-to.pdf)がよく使われます。
家族や身近な人で、物忘れが増えてきた、同じ話を繰り返している、“もの”や“ひと”の名前が思い出しにくくなったなど、もしかしたら?と思ったときはチェックシートを利用してみてください。

自分自身でチェックされる人もいますが、ほとんどの場合、家族や身近な人がチェックされています。
「おせっかい」と言われるかもしれませんが、気になったら活用してみましょう。
この他にも長谷川式認知症テストなどご本人や家族ができるチェック方法はいろいろあります。
しかしチェックの結果だけでは認知症であるとの判断はできません。
認知症とは言えないまでも気になる場合は、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
かかりつけ医が、症状に応じて必要な専門医につないでくれます。

認知症になっても安心して暮らせる町に

認知症と診断されてもあなたはあなた。
お父さんはお父さん。
お母さんはお母さんです。
少し生活がしづらいだけで、他の人間に変わるわけではなく、人生の価値が変わるわけではありません。
最後まであなたらしい、お父さんらしい、お母さんらしい人生を送るためには、周囲の理解と協力が必要となります。

超高齢化社会の今、地域で認知症の方々を支える取り組みが盛んになってきました。
あなたも私もひとごとではない時代になっているのです。
「認知症になったから施設に入所せざるをえない」ということをよく聞きますが、生活環境を変えることは認知症の方にとっては大きな負担となります。
認知症になっても、安心して暮らすことができる家そして町づくりが今求められているのです。

認知症の方を地域で支えるためには、認知症のご家族の力だけではできるはずもなく、医療職者、行政職者、そして地域住民の力が必要です。
私たち訪問看護師もまた専門職として、その役割は重要だと感じています。

私自身、訪問看護師としてだけではなく、ある時は隣のおばちゃんとして、「気になったから顔見に来たよ」と、そんな人情あふれる人間でありたいと感じています。