誰にでもはじめがあります
専門職である看護師ですが、人によりまだ就職したての新人看護師から、10年20年のベテラン看護師まで熟練度は人によりさまざまです。
訪問看護師でも同様、新人看護師もいますし、病院ではベテランと呼ばれていても在宅看護の現場ではまだ新人、そして10年以上のベテラン訪問看護師までいます。
どうせならベテランさんにみてもらいたいという方もおられますが、どのベテラン看護師にもはじめがあります。
私もベテランさん(時にはおばさんと呼ばれます)の域に入ったと自覚していますが、私にも新人時代、そして看護学生という若い時代がありました。
これから訪問看護師が地域社会でさらに活躍し皆さまの支えとなるためには、新人教育、学生教育はとても大切なことだと感じています。
看護学生の在宅看護実習を受け入れて
みどり訪問看護ステーションでは現在看護専門学校2校と看護大学2校の学生実習を受け入れています。
学校により実習時間は3日間から2週間などのちがいがあり、病院や施設など実習経験も様々です。
学生さんも社会人の経験があり一念発起し看護学校を受験した方から、親に看護師になるように言われたとか、第一志望の大学に落ちたからと、看護師になりたいという意志をあまり感じない学生さんもいます。
看護師になりたいと希望に満ちた学生には私たちの指導にも思わず熱が入ります。(笑)
でもきっかけはどうであれ、いつか看護師になってよかったと、心から感じてもらえることを信じています。
当ステーションでは実習指導者だけでなく全スタッフが学生さんに関わっています。
裏の苦労話ですが、本来ならステーションに帰らずに次の訪問に効率よく移動できる場合も、学生さんを事務所に送るために一旦帰ることもしばしば。
時には他のサービスとの連携を理解してもらうために、日頃は他事業所に依頼している訪問入浴などの場面に連れて行ったりします。
また訪問先に事前に学生さんが来ることをお願いすることも必要ですが、裸を見られたくない、見せ物になるような感じ、気を遣うなどの理由で断られることも少なくありません。
このように現場で看護学生の実習を受け入れることは、日常の業務よりかなり忙しくなるのが現状です。
しかしさすが在宅看護のスタッフ!
学生実習の大切さを知るスタッフは、嫌な顔ひとつせず熱心に指導してくれています。
むしろ若さをいただいているという感じでしょうか。(笑)
学生さんから学ぶこと
学生さんの実習記録を見て、“こんな風に見えているんだ”とドキッとしたり、日常的なケアを今一度客観的に見直すことがあります。
また些細なケアにも看護の意味づけや根拠となることを改めて見直すことができます。
このように学生さんとの関わりは、現場スタッフの大切な学びとなっています。
移動の車中で学生さんから「在宅実習は楽しいです」と聞いたり、カンファレンスで「将来的には在宅看護もいいなぁと思った」などと聞くと、私たちがここで働くやりがいを分かってもらえたようで嬉しくなります。
学生さんの学びの声
・病棟の患者さんの延長上には、今回見たような在宅生活があることを忘れずに今回の学びを今後の実習に活かしていきたい。
・訪問看護師が必要としている医療的ケアを提供してくれているという安心感に加えて、ケアを提供されている時間は自分たちのことをしっかり見てくれるという感覚が療養者や家族の大きな心の支えになっていると思う。
・療養者の今後の人生をよりよいものにしていくためにも、在宅看護は必要なものであり、あらゆる可能性があると学べたので、その視点を忘れないようにしていきたい。
学生さんへのエール
在宅看護では“我が家”という病院では味わえない穏やかな時間や空間があります。
また療養者様やその家族様が普段生活の中で交わす何気ない会話は、病院や施設とはちがい学生さんにとっては新鮮に感じるのではないでしょうか。
実習で“ありのままのその人を観る”という看護の本質を感じることができたら、病院においても患者様が退院し、生活者となることを考えた看護を提供することができると感じています。
頑張れ看護学生さん!
覚えることは山ほどありますが、誰にでもはじめがあります。
実習を受け入れて下さった療養者様やその家族様、そしてスタッフのためにもしっかりと学んで下さいね。
そしていつか“素敵な看護師さん”になれることを祈っています。
倫生会ではみどり病院、みどり訪問看護ステーション、枝吉調剤薬局、老人保健施設みどりの丘、グループホーム希の丘、みどり保育園が連携し人材教育に力を注いでいます。興味のある方はお気軽にご連絡ください。
連絡先:みどり病院 078-928-1700
総務 額田まで