高齢者がどんどん増え続ける日本では、膨らむ医療費、マンパワー不足等が要因となり、“入院して治す”医療だけではまかないきれなくなりました。
そこで衰弱した高齢者だけでなく、重度の肢体不自由者、知的障害者、人工呼吸器や気管切開、経管栄養等の医療処置を日常的に必要とする方でも、病院ではなく住み慣れた地域で、生涯笑顔で生活が送れるしくみづくりが今すすめられています。
その中心となるのが在宅医療、地域包括ケアシステムの構築です。
ちょっと難しい言い方でしたが、一人一人のライフスタイルに合わせて専門職がそれぞれの視点で考え、力を合わせて効率的に質の高いサービスを行うことが地域包括ケアシステムのひとつです。
もっと分かりやすく言うと、年老いて病気があっても安心して暮らし続けるために、ご本人やご家族、ご近所さん、そして在宅医療の専門職が一緒になって「あーだ」「こーだ」と言いながら、生活をまるごと支援する仕組みをつくりましょうというものです。
地域包括ケアのほんの一部ではありますが、みどり訪問看護ステーションがある神戸市西区でも地域で働く看護師(Ns)、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が一緒になって定期的に話し合いや研修会を行っています。
名付けて“POS-Nsネット”!
名前の由来は単純。
PT、OT、STそれぞれの頭文字を取ってPOS(ピーオーエス)、そこにNs(ナース)が加わって“ピーオーエス-ナースネット”と読みます。
研修はグループによる実技研修形式としていますので、お互いの顔と名前が覚えやすく、いつも和気あいあいとしています。
まだ昨年度から始まったところで手さぐり状態ではありますが、少しずつ参加者が増え、医療機関や事業所の壁を越えて仲間が増えてきました。
予算がないところから出発しましたので講師代はありません。
毎回専門職それぞれが講師となり、参加者に技術や考え方などを指導し共有していきます。
ちょっと紹介しますと第1回目は理学療法士が講師となり、四肢関節の動かし方やボディメカニクスを活用した介助方法を学びました。
第2回目は看護師が講師となり、在宅ならではのリスクや在宅での“ヒヤリハットあるある”、在宅で働く医療者のリスクマネージメントの実際を学びました。
先日第3回目が行われ、作業療法士が講師となり在宅で使える自助具とその使い方について学びました。
100円均一で売っているものを使って実際にソックスエイドやグリップシート、リーチャー、飲みやすいコップを作ったり、食具の使用体験や、移動シートを使った移動・移乗の方法のテクニックなど、どれも役立つ内容で、研修後のアンケート結果でも大好評でした。
次回は在宅医療ではまだ数が少ない言語聴覚士が講師となり研修会を開催する予定です。
職種の特性を分かっているつもりでも、毎回参加者からは「へぇー!」という言葉が続発。
この地域で暮らす方々にも「へぇー!」「楽になったわ」「安心したわ」と言っていただけるサービスにつなげることができればいいなと思っています。
“西区多職種つなげ帯”の活動はこれからも続きます。