医薬品を正しく理解していただくために 〜ジェネリック・バイオシミラー・オーソライズドジェネリックの違いって何?〜

薬剤科

今回は医療用語について紹介します。 
『ジェネリック医薬品』は一般の方にも馴染みのある言葉になりました。
それに加え、最近の医療現場では『バイオシミラー』や『オーソライズドジェネリック』なども頻繁に使用されるようになりました。
私が学生の頃は教科書レベルの用語だという認識でしたが、実際の医療現場ではかなり普及が進んできています。
ですから今回は『ジェネリック医薬品』や『バイオシミラー』『オーソライズドジェネリック』の事をまとめてみました。
薬剤師をはじめ医療従事者の方が、患者様に安心して服用していただくための服薬指導をする際に本稿が参考になればと思っています。
なお、本稿で紹介する医薬品は一例であり、当院で実際に扱っている医薬品を掲載しています。 

まずはそれぞれの医薬品の基礎知識について説明します。

ジェネリック医薬品とは? ~数量シェアが現在65.8% ~

ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認されています。
一般的に、研究開発に要する費用を抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が低くなります。
そのため、ジェネリック医薬品を普及させることは、患者様の費用負担の軽減や医療財政支出の抑制に繋がります。
ちなみに、平成29年9月現在のジェネリック医薬品の数量シェアは65.8% 1で、厚生労働省は2020年度末までに80%以上とすることを目標にしています。
そのため、ジェネリック医薬品の普及施策は診療報酬・調剤報酬の改定にも大きく影響しています。
当院では内服薬で多く採用されています。
1;平成29年度医薬品価格調査(厚生労働省)

バイオシミラーとは? ~ホルモン・サイトカイン・酵素・抗体・ワクチンのジェネリック医薬品~

バイオシミラー(バイオ後続品)とは、国内で既に承認され、特許期間、再審査期間が満了した先行バイオ医薬品に対して、品質、有効性及び安全性が同等・同質であるように開発されたバイオ医薬品で、先行バイオ医薬品を製造・販売するメーカーとは異なるメーカーが開発したものです。
市販後の安全性管理は新薬と同様に行われており、安全性の確保が図られています。
当院では、糖尿病治療薬のインスリングラルギンBS注ミリオペン®「リリー」(一般名:インスリングラルギン)、膠原病治療薬のリツキシマブBS点滴静注500㎎「KHK」(一般名:リツキシマブ)等が採用されています。

オーソライズドジェネリックとは? ~開発費用がかからないため安い~

先発医薬品と全く同じ原薬や添加物、製造方法で製造されたジェネリック医薬品です。
特徴は先発医薬品の特許が切れる半年前から、新薬メーカーがジェネリックメーカーに特許を与えることで開発されており、他のジェネリック医薬品に先駆けて販売が可能です。
また、ジェネリック医薬品の開発に必要な試験を省略できるため、医療費削減に繋がります。
当院では、抗血小板剤のクロピドグレル錠75mg「SANIK」(一般名:クロピドグレル硫酸塩)が採用されています。

それぞれのメリットとデメリットは?

『ジェネリック医薬品』
メリット:
先発品の50%の薬価(内用薬については、銘柄数が10を超える場合は先発品の40%の薬価)、先発品には無い規格・剤形がある等
デメリット:
外見・名称が異なる、添加物が違う、製造方法が異なる、身体に合わない可能性がある等

薬価比較例

区分
薬剤名(一般名)
薬価(円/1錠)
先発品ルプラック®錠8mg(トラセミド)
34.80
ジェネリック医薬品トラセミドOD錠8mg「TE」(トラセミド)
17.40

『バイオシミラー』
メリット:
先発品の70%以下の薬価(内用薬については、銘柄数が10を超える場合は先発品の60%の
薬価、臨床試験の充実度に応じて10%を上限とした上乗せができる場合もある)
同等・同質であり高度な類似性がある等
デメリット:
外見・名称が異なる、有効成分がインスリン・成長ホルモン・抗体などのタンパク質のため
ジェネリック医薬品ほど薬価が抑えられない、ジェネリック医薬品のように同じ成分とは言
えない等

※薬価比較例

区分
薬剤名(一般名)
薬価
(円/300単位)
先発品ランタス®注ソロスター® (インスリングラルギン)
1,936
バイオシミラーインスリングラルギンBS注ミリオペン®「リリー」
(インスリングラルギン)
1,481
区分
薬剤名(一般名)
薬価(円/瓶)
先発品リツキサン®点滴静注500㎎(リツキシマブ)
157,855
バイオシミラーリツキシマブBS点滴静注500㎎「KHK」
(リツキシマブ)
110,498

『オーソライズドジェネリック』
メリット:
ジェネリック医薬品と価格類似または若干高く設定されているが先発品の50%程度の薬価
製造方法や添加物の違いによる薬の効果や副作用への懸念が少ない、安定供給が可能等
デメリット:
外見・名称が異なる、普通のジェネリック医薬品でみられる製造工夫(口腔内崩壊錠など)が少ない、種類が少ない等

薬価比較例

区分
薬剤名(一般名)
薬価(円/錠)
先発品プラビックス®錠75㎎(クロピドグレル硫酸塩)
182.30
オーソライズド
ジェネリック
クロピドグレル錠75㎎「SANIK」
(クロピドグレル硫酸塩)
70.20
(参考)
ジェネリック医薬品
クロピドグレル錠75㎎「アメル」
(クロピドグレル硫酸塩)
49.90

先発医薬品からジェネリック医薬品への切り替え例

市販後のジェネリック医薬品の品質については、国立医薬品食品衛生研究所に設置される「ジェネリック医薬品品質情報検討会(以下、「検討会」)」で、学術的な観点から検討されるとともに、必要な試験・評価が実施され公開されています。
以下は公開されている情報の一例です。
『関節リウマチ患者におけるタクロリムスの使用例・・・タクロリムスの新規投与、先発医薬品から切り替えることにより有効性に問題はありませんでした。むしろジェネリック医薬品のほうが、薬価が安く必要量まで増量しやすく有効性が増しました。』
このように先発医薬品とジェネリック医薬品の効果の比較も多数掲載されており、院内で扱うジェネリック医薬品の安全性への理解を深めることができます。
ジェネリック医薬品に不安や疑問を抱く患者様がいらっしゃる場合は、検討会での検証結果も踏まえながら、ジェネリック医薬品の臨床情報を正確に紹介することも重要です。

以上のように、一つ一つの医療用語を掘り下げることで、医薬品の性質を適切に理解することができます。
患者様の中には先発品以外の服用を拒否される方もいらっしゃいます。
そのような患者様に対して上記のような医薬品の効果を正しくお伝えし、ご安心いただくことが重要と考えます。
私たち薬剤師は、入院中に薬の変更などが原因で患者様の服薬アドヒアランスが低下してしまった場合は、その患者様のライフスタイルに合わせた管理方法を提案することを心掛けています。

広い視点を持ち、患者様の疑問などを解決し、少しでも患者様に寄り添えるように・・・。

Topic
生活保護法の改正により、平成30年10月1日から、生活保護受給者について、医師又は歯科医師が医学的知見に基づいてジェネリック医薬品を使用することができると認めた場合は、原則としてジェネリック医薬品が給付されることになりました(生活保護法第34条第3項)。
政府主導のもと、今後、ジェネリック医薬品の普及について一層推進されることが予想されます。

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