楽な起き上がり動作を行うために

ここ最近、患者様から「ベッドから起きてトイレへ行くのも一苦労。」「起き上がるのに力を使って疲れてしまう。」という話をよく耳にします。今回は、どのような起き上がり動作があるのか、どうすれば楽に起きる上がることができるのかについてお話ししたいと思います。
起き上がり動作は主に、

①ベッドの上で身体を起こし、足を下ろす起き上がり動作

②横向きになり、足を下ろした状態から、身体を起こしていく起き上がり動作

これら2つの起き上がり動作に分けられます。①の起き上がり動作は②に比べ、肩の可動域や、腹筋などの筋力を要するため、高齢の方には身体への負担が大きい動作パターンとなります。そのため、今回は①の起き上がり動作に比べ身体への負担が小さい②の起き上がり動作についてお話ししたいと思います。

②の起き上がり動作で起き上がろうとする時、「ベッドから足を下ろすまではスムーズに行えるけど、その後身体が起こせない。」という悩みを持つ方が多い印象を受けます。そのため、腕の力を目いっぱい使ってなんとか身体を起こす方法をとられている方をよく目にします。
高齢の方が、②の起き上がり動作で身体を起こすのに苦労する原因として、体幹筋力(腹直筋・腹斜筋)の筋力低下により、足の重さを利用した起き上がり動作ができていないことが挙げられます。足をベッドから下ろし、身体を起こしてくる時に、体幹筋力により、体幹と骨盤を固定し、腰を支点としてシーソーのように起き上がってきますが、体幹筋力が不十分であれば体幹と骨盤の固定ができず、体幹を起こすために結果として腕の力に頼った起き上がり動作になってしまいます。このように、起き上がり動作を行うにあたって体幹筋力は必要不可欠であることがわかっていただけたでしょうか。

では、自宅でできる体幹筋力トレーニングを紹介したいと思います。

・クランチ

ベッド上で行える、比較的簡単なトレーニングです。
仰向けになり、股関節・膝関節を直角に曲げ、その姿勢を保持し腹筋を鍛えます。時間が経つとともに足が下がってくると思いますので、写真にあるような姿勢を保持しましょう。
1分間を2セット、疲労が無い範囲で行いましょう。1分間がきついと感じる方は、自身が耐えることができる、無理のない時間で行いましょう。

・バイシクルクランチ

仰向けになり、片方の足を曲げ、もう片方の足を伸ばします。この時、両手は頭の後ろで組むようにし、ヘソを見るように首を曲げましょう。
クランチに比べ負荷が強いため、1セット10回程度を2~3セット、無理のない範囲で行いましょう。

いかがだったでしょうか。起き上がり動作において、体幹筋力は非常に重要な役割を担っています。体幹筋力を鍛えることで、歩く姿勢の改善や、運動の効率も上がっていきますので、皆さんもぜひ、自宅でトレーニングを行ってみましょう。訓練方法をさらに知りたいという方がいらっしゃれば、気軽にみどり病院リハビリテーション科にお尋ねください。当院では「自分でできる」をコンセプトに、微力ではありますが、皆さまの支援になれればと願っています。一緒に頑張りましょう。