美味しいみかん、一日何個なら大丈夫?〜管理栄養士がみかんとの健康な付き合い方をアドバイスします〜

栄養科

患者様の1日の食事内容を聞くとき

「間食にお菓子は食べていないんだけど、そういえば、気が付いたらみかんの皮が10個分くらい山になっていた。」
「食後に、みかん2個ずつくらい食べてるかな。1日6個くらい。」
「みかんが箱で届くから、たくさん食べたわ!」

など、1日の量としては多いかなと思う量を食べている方が多かったです。やはり、食べ過ぎると、血液検査でも、数値が高くなる方がちらほら・・・。

冬の果物の代表といえばみかんというイメージの通り、多くの人を惹きつけているなと感じて話を聞いていました。そこで、みかんにはどのような栄養が多く、適量はどれくらいなのかを調べてみました。

▼うんしゅうみかん(普通 生 100gあたり)の栄養成分(中くらいのサイズは約120g/個)食品成分表2023
  • エネルギー:49kcal
  • たんぱく質:0.7g
  • 脂質:0.1g
  • 炭水化物:12g、
  • 食物繊維:1.0g
  • ビタミンA:84μg
  • ビタミンC:32mg

ちなみに他の柑橘系は(食品成分表2023より)

▼いよかん(100gあたり/1個200~250g)
  • エネルギー:50kcal
  • たんぱく質:0.9g
  • 脂質:0.1g
  • 炭水化物:11.8g
  • 食物繊維:1.1g
  • ビタミンA:13μg
  • ビタミンC:35mg
▼はっさく(100gあたり/1個400g)
  • エネルギー:47kcal
  • たんぱく質:0.5g
  • 脂質:0.1g
  • 炭水化物:11.5g
  • 食物繊維:1.5g
  • ビタミンA:9μg
  • ビタミンC:40mg
▼せとか(100gあたり/1個200~300g)
  • エネルギー:50kcal
  • たんぱく質:0.8g
  • 脂質:0.2g
  • 炭水化物:11.7g
  • 食物繊維:0.7g
  • ビタミンA:77μg
  • ビタミンC:57mg

エネルギーなどは大きく差はないですが、ビタミンAは多少差があるようです。
では、話を戻して、みかんの注目の3つの栄養成分についてお話します。

◆食物繊維

みかんの皮は薄いですが、食べる方と食べない方に分かれると思います。白い綿の部分や薄皮にペクチンという水溶性食物繊維が多く含まれています。食物繊維は、適量を摂取すれば腸内の環境を改善し、便通を良くする機能があります。ただし、食べ過ぎると腹痛や下痢の原因となります。

◆ビタミンA

ビタミンAは皮膚や粘膜の状態を保つために必要な栄養素です。βクリプトキサンチンはミカンの黄色を作っている成分です。「カロテノイド」という抗酸化作用を持つ天然色素の一種で、体の中ではビタミンAに変換されます。

みかんを食べ過ぎると手のひらが黄色くなるよ!と昔、言われて、みかんの皮の黄色がついているだけじゃないか?と信用してなかったのですが、実は、余った分のカロテノイド(βクリプトキサンチン)が皮膚の表面に近い部分にある脂肪に溶け込み、皮膚が黄色く見えることによって手のひらが黄色になっていたみたいです。柑皮症(かんぴしょう)というらしいです。

◆ビタミンC

ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンの合成を補助したり、体内の活性酸素を取り除く働きがあります。温州みかんは、100gあたりビタミンCを32mg含んでいます。成人男性(18~64歳)の1日あたりのビタミンC推奨量は100mgのため、温州みかんを100g食べるだけで1日分の1/3程度を補うことができます。

ちなみにその他の果物をみてみると、ビタミンCが多いと言われるキウイは71mg/100g、手軽に食べやすいバナナは16mg/100g、りんごは4㎎/100gです。みかんはビタミンCが多めだとわかります。

おまけです。

◆みかんの白い綿状(アルベド)は食べるか?

白い筋は取って食べるかどうか?分かれると思います。この部分にはビタミンに似たヘスペリジンという成分が含まれているそうです。特に熟す前の青いみかんの皮や筋に多いようです。ヘスペリジンにはさまざまな働きが期待されており、例えば、抗酸化物質として体内の活性酸素を取り除く働き、末梢血管を強化する働きなどが挙げられます。さらに、ビタミンCの吸収を促進する作用もあるようです。
みかんの皮を乾燥させて陳皮(ちんぴ)として漢方にも用いられたりしています。

こうしてみると、みかんには、体に良さそうな栄養がたくさん含まれていますね。では、1日の適正量はどのくらいでしょうか?
農林水産省「食事バランスガイド」では、1日の果物の摂取目安量はみかんのみだと2個程度です。厚生労働省は1日に摂りたい果物の量は「可食部(食べられる部分)で200g」と言っています。この量だと中くらいのサイズを2個程度です。

食事制限のない方であれば、みかんの1日の摂取量は2個程度がよさそうです(糖尿病など糖質制限が必要な場合は病状に応じて調整が必要です)。
美味しいみかんの季節も終盤になりましたが、来年のみかんの季節まで忘れず覚えておいてくださいね。

みかんのカロリーの表