いよいよ育児時短就業給付が始まるよ!~2025年度から雇用保険制度が変わります!~

総務課

2025年度から雇用保険制度が改正されます。雇用保険制度は、雇用保険法(昭和49年法律第116号、昭和50年4月1日施行)に基づき発足した強制保険制度(労働者を雇用する事業は、原則として強制的に適用される)です。
今回の改正の主な趣旨は以下の3点です。

① 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築
→雇用保険の適用範囲の拡大
② 労働者の学び直しの支援(「人への投資」)強化等
→教育訓練やリ・スキリング支援の充実
③ 共働き・共育ての推進等

女性や高齢者等の多様な人材の労働参加が進む中で、新型コロナウイルス感染症の影響等により、働くことに対する価値観やライフスタイルが多様になってきている状況の下、労働者がその希望と状況に応じて持てる能力を十分に発揮できるよう、多様な働き方を効果的に支え、労働者の主体的なキャリア形成を支援すること、また、急速な少子化が進展する中で、社会全体で子育てを支援し、男女共に働きながら育児を担うことができる環境整備に向けて、特に男性の育児休業の取得促進や育児期を通じた柔軟な働き方を推進することが求められているという背景があるようです。

雇用保険制度の改正とともにこども子育て支援制度についても同様に改正が行われており、以前のブログでは令和4年10月から施行された出生時育児休業制度について取り上げました。共働きが当たり前になった現代において、男性にも育休を取りやすくするための制度としてスタートし、当院でもこの制度を利用して育休を取得した職員がいます。
2025年4月から改正される内容は一覧の通りです。

参考元|厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律等の概要

特に注目していただきたい改正内容が「出生後休業支援給付」・「育児時短就業給付」の創設についてです。

★出生後休業支援給付の創設 → 育児休業給付の手取りを実質10割に!

現行法では、育児休業を取得した場合、休業開始から通算180日までは賃金の67(手取りで8割相当)180日経過後は50%の育児休業給付(育児休業給付金および出生時育児休業給付金)が支給されるとされています。

今回の改正では、若者世代が、希望どおりに結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくために共働き・共育てを推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進のため、子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合には、「最大28日間休業開始前賃金の13%相当額が「出生後休業支援給付金」として支給されることになり、現行の育児休業給付(67%)と併せて「給付率80」へ引き上げられることとなりました。給付は非課税であり、育休中は一定の要件の下に社会保険料が免除されるため、「給付率80」は、育休前の手取り額と比較しても、実質10割相当になります。

なお、この出生後休業支援給付は現行の「出生時育児休業給付金」「育児休業給付金」に上乗せして支給されます。また、受給要件の例外があり配偶者が専業主婦()である場合やひとり親家庭の場合などは、配偶者の育児休業の取得がなくても出生後休業支援給付金は支給(給付率の引上げ)されます。

つまり、本人のみの育休取得で受給が可能となります。

★育児時短就業給付の創設 → 2歳までの育児時短勤務者が給付対象に!

現行法では、育児のために短時間勤務制度を選択し、その結果として賃金が低下した労働者に対する給付は行われていません。

今回の改正は、共働き・共育ての推進や、子の出生・育児休業後の労働者の育児とキャリア形成の両立支援の観点から、柔軟な働き方として時短勤務制度を選択できるようにするため、被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合の新たな給付として、「育児時短就業給付」が創設されました。

育児時短就業給付の給付率は、休業するよりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%相当額とされています。

~育児時短就業給付の支給要件~

育児時短就業給付を受けるには、2歳未満の子を養育するために時短勤務を行い、かつ①か②のいずれかに該当する必要があります。

※「みなし被保険者期間」とは、休業開始日=被保険者でなくなった日(資格喪失日)とみなして、第14(被保険者期間)の規定を適用した場合に被保険者期間に相当する期間を指す

また、雇用保険制度の改正とはまた別に20254月より育児・介護休業法の改正により子の看護休暇の適用範囲が拡大されます。子の看護休暇とは、小学校就学前の子どものいる親が有給休暇とは別途取得できる休暇制度のことです。子ども一人につき年間5日取得可能(対象の子どもが2名以上の場合は10)です。

この休暇制度は当院の職員でも利用されている方が多くいらっしゃいますので、どういった点が変わるのか改正内容についてお知らせしたいと思います。

~子の看護休暇の現行と改正後のポイント~

上記以外の補足として、授業参観や運動会参加は法的には子の看護等休暇の取得事由の対象には ならないので注意が必要です。また、就学猶予により、例えば小学校入学が1年遅れた子に関する子の看護等休暇は、小学校2年生修了まで(=9歳になった年度の終わりまで)適用されます。

こうした子育て支援の制度の改正及び新設が進むことで、夫婦あわせて働きながら安心して子育てしつつ、子どものために休みが取りやすい職場になるよう、私も4月から始まる新しい制度について知識をより深めていきたいと思います。

参考元