「急ぎ足で歩くと胸が苦しくなる」
「階段ののぼりおりをすると胸が締め付けられる感じがする」
「横になると苦しくて眠れない」
これらの症状は動脈硬化などが原因で心臓を栄養する冠動脈という血管が狭くなって、心臓の筋肉である心筋が血液不足になる狭心症や心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなる心不全の可能性があります。
「心筋梗塞」や「狭心症」をまとめて、心臓に十分な血液がいきわたっていない状態という意味で「虚血性心疾患」といい、心臓を栄養する冠動脈が、動脈硬化などで狭くなったりすることで、心臓の筋肉である心筋に血液が十分にいきわたらなくなったときに胸の痛みや胸のしめつけ感などが現われます。
心筋梗塞は少しの動脈硬化から始まり、高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・肥満などの生活習慣病や喫煙習慣が冠動脈の動脈硬化を進行させ、やがて心筋梗塞を招きます。
冠動脈の動脈硬化の程度を調べるのには心臓(冠動脈)CT検査が有用です
これまでは『心臓カテーテル検査』をしなければ冠動脈の状態を調べることは出来ませんでした。
この心臓カテーテル検査は太い動脈に針を刺し検査を行うために、患者様にとって負担が大きい検査です。
当院ではその心臓カテーテル検査にとってかわる検査として、最新式80列マルチスライスCT (Aquilion PRIME)による心臓(冠動脈)CT検査を積極的に行っております。
<心臓(冠動脈)CT検査の利点>
・心臓カテーテル検査と異なり、入院せずに外来にて冠動脈(心臓)の検査が可能
・検査時間が短い(検査時間約20分)
・冠動脈の動脈硬化の程度、動脈硬化による冠動脈の狭窄や冠動脈の壁性状の評価が可能
画像左上が心臓カテーテル検査画像、その他は心臓(冠動脈)CT画像です。
心臓(冠動脈)CT画像では冠動脈全体に石灰化が認められ、冠動脈に細くなっている部分(狭窄)があることが心臓カテーテル検査画像と同様にわかります。
当院では80列マルチスライスCT (Aquilion PRIME)画像を解析し、心臓(冠動脈)全体の動脈硬化を調べる冠動脈カルシウム(石灰化)スコア測定も行なっております。
通常、心臓(冠動脈)CT検査では造影剤を用いて撮影を行いますが、カルシウム(石灰化)スコア測定では造影剤は用いずに検査を行います。
冠動脈の石灰化をスコア化することにより、心筋梗塞などを起こす可能性が高いかどうかを調べる検査です。
心筋梗塞など虚血性心疾患による死亡率は1月~2月にかけて高くなることをご存知ですか?
心筋梗塞による死亡は10月~4月頃にかけての寒くなる時期に増え、なかでも1月、2月に特に多く、6月~9月にかけて夏の暑い時期に比べ2倍近くに増えるといわれています。
寒くなると、体は血管を収縮させて、体温が低くなり過ぎないよう調節し、体温を維持しようとします。
血管が収縮した状態が続くと血液の流れが悪くなり、その血管が動脈硬化の進んだ硬く狭くなった血管では血液が通るときに詰まりやすくなるため、心臓を栄養する冠動脈が詰まって心臓の筋肉である心筋への血液の供給が完全に止まり心筋梗塞は起こります。
高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満など動脈硬化の危険因子のある方では心筋梗塞がおこる危険性が高まります。気になる症状のある方はお気軽に当院外来でご相談ください。