下肢静脈瘤って?


当院では、今年1月から心臓血管外科医による下肢静脈瘤・むくみ外来をはじめました。
下肢のむくみ・だるさ・血管がボコボコ浮き出ている・こむら返りがあるなどの症状のある方が受診されています。
ところで、「下肢静脈瘤」って?どんな病気でしょう。

人の体には血液が流れる血管が、動脈と静脈の2種類あります。
動脈は、心臓から送り出された血液を体の隅々まで流す働きがあります。
静脈は、動脈により臓器に送り込まれた血液を心臓に戻す働きがあります。
人間は立って暮らしているので、特に足静脈では重力に逆らって血液を下から上に送るという特別な働きがあります。
この血液の流れを「静脈潅流」といいます。
体内には、静脈潅流をスムーズに送るためにいくつかに重要な働きがあります。
1、呼吸による血液の吸引 
2、流入する動脈の血液による押し上げ 
3、筋の収縮による筋ポンプ作用 
4、静脈弁 
です。
足ではふくらはぎの筋肉によるポンプ作用と静脈弁が最も重要な働きをしています。
静脈弁は、立っているときに血液が足に戻ってしまうことを防いでいます。
この弁が壊れると、血液が逆流してその下にある静脈に血液がたまってしまいます。
血液がたまった状態が毎日毎日、何年も続くと徐々に静脈の壁が引き伸ばされて太くなります。
更に太くなると静脈はヘビのようにグネグネと曲がりくねった状態になります。
この静脈が曲がりくねった状態が、「下肢静脈瘤」です。
この下肢静脈瘤に対しての治療には、「圧迫療法」「硬化療法」「手術療法」があります。
今回は、「圧迫療法」の弾性ストッキングについてお話します。

圧迫療法は、弾性ストッキングや弾性包帯で下肢を圧迫して静脈うっ血や逆流を防ぐ治療法です。
弾性ストッキングは、足首の圧迫圧が最も高く、大腿に向け圧が低くなる段階的圧迫圧に作られています。
弾性ストッキングには圧迫圧があり、下肢静脈瘤には30~40mmHg、軽度静脈瘤には20~30mmHgが適しています。
そして、人それぞれ足の太さが違いますから、足首・ふくらはぎの太さを測り足の太さに合ったサイズを選んで処方しています。
また、ひざ下までのハイソックスタイプ・太ももまでのストッキングタイプ・パンストタイプとタイプもさまざまです。
症状に合ったタイプを処方されます。
しかし、残念ながら下肢静脈瘤に対して保険適応外なので自費購入していただかないといけません。
弾性ストッキングは普通のストッキングと違い圧迫圧が高いため、硬く履きにくいものです。

はじめての方にはもちろん、履きずらくお困りの方も医師・看護師にお声かけいただければアドバイスさせていただきます。
適切に着用して症状の悪化を防ぎましょう。
そして快適な日常生活を送りましょう。
そして、弾性ストッキングでも症状が続く方、外見を気にされる方などは、手術療法も医師にご相談いただけます。