病院食 ~毎月の栄養評価について~

「栄養士は病院で献立を立てている人」とよく言われます。
もちろん献立を立てるのは栄養士の仕事です。
しかし、献立を立てて終わりではなく、実施した献立を後からも評価しています。
当院で提供される病院食は38種類あり、その中から患者様の病態・体格・年齢・嗜好などを考慮してご提供させていただいています。
病院の献立には2種類あり、実施前の献立を予定献立、実際に提供した食事の献立を実施献立といいます。
前回の記事で献立の立て方(予定献立)について書きましたが(https://midori-hp.or.jp/nutrition-blog/how_determine_the_standard_dietary_reference_intakes/)今回は実施献立の栄養評価に関して少しだけ書こうと思います。

予定献立は、荷重平均・食料構成などをもとに日本人の食事摂取基準を満たすように栄養バランスを考え、また調理の動線や食器の組み合わせ、食材が重複していないか、色合いは良いかなどをいろいろと考えて立てられています。
立てられた献立は、調理師さんたちが調理・盛り付けをして、配膳時間になると患者さんへ提供されます。
提供された食事はどの程度の喫食量であったか(残食量)を測定し、次の献立作成に活かされます。
残食量はアンケート調査と合わせて人気のメニューの調査などにも使えます。
そして、栄養士は作成・実施された献立(実施献立)に含まれる食材や栄養素を毎月評価しています。
食料構成に基づいた食材が使われているか、その中で基準に対して過不足がないかを確認します。

また含まれる栄養素に関しても確認を行います。
三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)やその他の微量元素(ビタミン・ミネラル・食物繊維など)が過不足なく含まれているか確認しています。
また、たんぱく質や脂質の種類やその割合が適切であるかなども見ています。
たとえばたんぱく質のなかでも動物性のものの割合がどのくらいあるか(動物性たんぱく質比)、エネルギー全体の中で穀類が占める割合がどの程度か(穀類エネルギー比)、脂肪酸の割合から脂質の内容なども見ていきます。
一般食では日本人の食事摂取基準に基づき必要な栄養が摂れていることを確認し、特別食(病気別の食事)では、さらにそれぞれの病気別の基準にあった栄養が取れているかを確認します。
塩分制限、脂質やたんぱく質の制限やその程度は食事の種類によってさまざまですが、院内の基準をもとに評価しています。

献立はサイクルメニューになっている場合が多いですが、季節によって行事食を出したり(ひな祭りや、七夕、クリスマスなど)、食材の変更があった場合も基準を満たす栄養バランスになっているかをチェックします。
献立の作成時はもちろん、実際に提供された献立についても栄養価の評価をすることも栄養士の仕事のひとつです。