中年女性の「痩せる」を叶えたい〜管理栄養士の考える基礎代謝を上げやすくするライフスタイルとは②〜

もう季節は秋ですね。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋…。美味しい食べ物が収穫される季節ですね。美味しいものを賢く選んで食べたいものですね。

前回、「中年女性の「痩せる」を叶えたい~管理栄養士の考える基礎代謝を上げやすくするライフスタイルとは~」という記事で、どうすれば基礎代謝量を上げやすくすることができるのか?を考えてきました。

私たちが基礎代謝量を上げやすくする・維持するには4つのポイントがあり、そのうちの『①水分をしっかり飲む』を前回勉強しました。今回は、『②身体を温める食事』を勉強していきたいと思います。

◆基礎代謝量を上げやすくする・維持するには4つのポイント◆

① 水分をしっかり飲む。
② 身体を温める食事をする。
③ 筋肉を作りやすい食事をする。
④ 腸内環境を整える食事をする。

ここで、1日の摂取カロリーは、年齢・性別・運動量によって変わってきますが、30~49歳の女性、運動量普通(身体活動レベル普通Ⅱ)2000kcal/日の食事で考えていきます。

『②身体を温める食事』
身体を温めるとなぜ基礎代謝が上がりやすくなるのだろう。
厚生労働省の資料によると、体温が1℃上がるごとに基礎代謝は約13%増加する事が載っていました。基礎代謝は、皮膚の表面からの放出される熱量が多いことから体温が高ければ基礎代謝も上がるそうです。(V運動の基礎科学)

では、具体的にどれくらいの差がでてくるのかを体温による変動率でみていきましょう。平熱を36.5℃(変動率100%)として、女性30~49歳の変動率は下の表1のようになります。(腋窩検温30分で測定)

基準体重 52.7㎏、体重1㎏辺りの基礎代謝 21.7kcal
〈表1〉

日本人の平熱は1957年の田坂定孝先生の研究報告によると、36.89±0.34℃(平均±標準偏差)で1日のうち体温変化1℃以内におさまるので、36℃と37℃の差を比べてみました。

1218kcal-1070kcal=148kcalで約150kcalの差がでてきます。
この差をバナナに例えると2本分(1本は中くらいの大きさ、可食部70g程度)の量です。これを運動で消費しようと思うと52㎏の人がウォーキング(普通:4km/h)を55分歩くことになります。これだけ運動するのは大変ですね。平熱を上げやすくする食事をしたくなってきませんか?

では、少しでも平熱を上げやすくする食事、身体を温める食事をみていきましょう。
身体を温める食材を選ぶにはどんな見分け方があるのでしょうか?
食品に含まれる成分から、薬味や香辛料など機能性からに分けて考えてみました。

◆食品の成分から

食品に含まれるビタミンは、エネルギー産生栄養素である糖質、脂質、蛋白質の代謝を円滑に進めて潤滑油のような働きをする栄養素です。体内の代謝に関係するビタミンはB群、C、 Eに多いです。また、国民栄養調査で栄養素摂取量30~49歳女性の平均値がビタミンB1、B2、B6、Cは不足しているので、積極的に摂って体内の代謝を良くして体温を上げやすくしてみて下さいね。

〈表2〉

〈表3〉ビタミンを多く含む食品

上の表3から1日に必要な適正量(30~49歳女性、運動量普通(身体活動レベル普通Ⅱ)2000kcal/日)を摂り入れると良いです。

◆食品の機能性から

食品の機能性とは、食品に微量ですが含まれている食品の生体調節機能成分(役に立つ機能的な効果が期待される成分)で、食物繊維やポリフェノールなどが有名です。その中で身体を温める効果が期待されるカプサイシンとショーガオールを紹介します。

唐辛子(カプサイシン)を食べると辛さを感じ、ぽかぽかして温かくなるとよく言われます。農林水産省によるとカプサイシンが感覚神経終末で結合して灼熱感を感じます。消化管から吸収されると血中に入り中枢神経系を介してアドレナリン分泌が促進し、脂肪代謝などエネルギー代謝を促進しますが、発汗作用もあるため、結果的に身体を冷やしてしまう事もありますので注意が必要です。

カプサイシンは、水に溶けにくく、油・アルコール・酢に溶けやすい性質がありますので、一度油で唐辛子を炒めてから調理すると摂取しやすいです。唐辛子を含む食品は、ラー油、豆板醤、七味唐辛子、柚子胡椒、もみじおろし、かんずりなどがありますが、食べ過ぎにはとても注意が必要です。

食品安全委員会によると成人の摂取の限界量(1日体重1㎏当たり5㎎、体重50㎏の人だと50㎏×5㎎=250㎎/日で、鷹の爪約250本程度)があるため、毎日少しずつ続けて食べると良いとされています。

薬味の生姜は、乾燥、加熱でできるショーガオールが身体を温める効果があります。
血液循環を促すため体の隅々まで血液が行きわたり体の深い部分で熱を作り出す効果があります。生の生姜(すりおろしなど)は、ジンゲロールを多く含み血管拡張効果で体を温める効果と発汗作用があるため、汗により体温を下げてしまうこともあります。

加熱してできるショーガオールの方が、身体を温める効果が期待出来ます。生姜の1日の摂取量は10ℊ/日が目安です。これは、すりおろし小さじ1杯程度(人の親指の第1関節くらいの大きさ)です。生姜湯や生姜入りのお鍋やスープ、味噌汁を取り入れてはいかがでしょうか。

このように色々な方向から身体を温めやすくする食品を紹介しました。これらの食品を使って、身体を温める食事を作る習慣を作って基礎代謝を上げやすくするライフスタイルを送ってください。次回は、基礎代謝量を上げやすくする・維持するには4つのポイントの『③筋肉を作りやすい食事をする。』を紹介したいと思います。次回もぜひ読んでくださいね。

参考文献:
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
厚生労働省e-ヘルスネット
ビューティーライブラリー~美容の図書館~