今回は、病院で行なっているレントゲンやCTなどの放射線画像検査の中で、不要な被曝を防ぐために活躍してくれる放射線防護用具をご紹介したいと思います。日々放射線を扱っている放射線技師ですが、放射線技師は被曝していないの?と聞かれることがあります。
放射線技師は撮影の際には、撮影室の外に退出して撮影を行うため、レントゲンやCTなどでは基本的に被曝はほぼゼロです。
例えば、皆さんも撮影する機会の多いレントゲンの撮影ですが、レントゲン撮影では、まずポジショニングといってあらかじめ決められた撮影の体位に合わせ、放射線技師は撮影室の外に退出し、ドアを閉めてX線の照射を行います。
また、撮影室の壁はコンクリートでできており、撮影室の扉や窓には鉛が含まれています。どちらもX線を通さないものになりますので、被曝することはありません。
しかし、姿勢保持が難しい患者さんや、維持の難しい体位で撮影する際に、撮影室内で私たちが体を支えて撮影を行う場合や、X線を用いた検査や治療(カテーテル検査・透視検査)の補助を行う場合、また小さいお子さんの検査に親御さんが付き添う場合などには撮影室内に入り検査の補助を行うことがあります。
この時、何の用意もせずに、そのまま撮影室に入ってしまうと、その都度被曝してしまうので、下記のような防護衣を着用して検査を行います。
※防護衣には放射線を遮へいする素材が入っています。
以前は鉛を含んだ素材で重かったのですが、近年では鉛を含まない無鉛の遮へい材が主流となっており、軽量化されています。
※ネックガードや防護メガネは1検査での被ばく量が多い血管造影検査や透視検査で使用することが多く、CT検査で補助に入る際も使用しています。
それでは、実際に防護衣が放射線を遮へいできているか、実験確認してみたいと思います。まず、防護衣による遮へいなしで放射線を照射します。
工具の形がレントゲン写真上でもしっかり写っています。
次に防護衣を被せて(遮へい)、放射線を照射してみます。
上記のようにオレンジの防護衣を被せると、その部分の工具は写っていません。よって防護衣によって放射線を遮へいすることができていると言えます。
防護衣など放射線防護用具は、経年変化で傷んだり、破れたり劣化してしまうので、定期的に防護性能をチェックして管理しています。
また、スタッフの日々の被曝線量は、下記の被曝線量計で毎月測定を行い被爆線量の管理を行っています。
線量管理については“見えない放射線、毎日測っています~スタッフ編~”でも掲載していますので、ぜひご覧ください。
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